澁谷昌也×高嶋ちさ子

2015.03.09

ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんに、ゲストの方をお迎えして銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、昭和2年から続く、銀座初のとんかつ専門店「銀座梅林」の代表取締役社長、澁谷昌也さんです

食材にこだわるメニューばかり。芸能界にもファンが多い

高嶋さん: ひと口カツや中濃ソースも銀座梅林さんが元祖だとか？
渋谷さん: ええ、創業者の初代がオリジナルで作ったのが始まりです。
高嶋さん: 中濃ソースは今ではあちこちで商品化されていますけど、それを最初に開発されたなんてすごいですね！私も昔、ハワイの友人にお土産に買ってきてくれと頼まれたことがあります。
渋谷さん: 昔は特許を取ることもしなかったので、いろいろなところに真似をされたのかもしれません。初代が薬剤師の経験を活かして、20種類の香辛料を配合し、独自のとんかつソースをつくったのが始まりです。それまでは、どの店もデミグラスソースやウスターソースなどを混ぜていたそうです。うちのは、野菜や果物の甘さとコクがあり、まろやかな味わいなんですよ。
高嶋さん: 今も食材には相当こだわりがありますか。
渋谷さん: 揚げ油はとんかつ用のオリジナルの油を精油会社と共同開発しました。綿の実から取る油を使っていて、程よいコクと独特の香りが自慢です。パン粉もさくさく感を大事に研究を重ねたオリジナルですし、豚肉は鹿児島産黒豚など、おいしい国産豚肉の生肉にこだわっています
高嶋さん: 素晴らしいこだわり…！さすがですね。そんな梅林さんには芸能人のファンも多いみたいですね。私もその内の１人ですけど。
渋谷さん: ありがたいことに、たくさんの方に来ていただいています。AKB48の高橋みなみさんは、うちのカツ丼の大ファンで、ブログやテレビなどで、言ってくださっています。「まさに神の味」と書いてくださったときは嬉しかったですね。
高嶋さん: ファンの方も来られるのでは？
渋谷さん: そうですね。ご本人がリハーサルの合間にそのままの格好でタクシーに乗って来られることも多いので、ファンの方もよくいらっしゃいますね。
高嶋さん: 私も今日夕食用に買って帰ろうと思います。もうキャベツを用意して、ご飯は炊いてあるんですよ(笑)
渋谷さん: ありがとうございます。テイクアウトでは、カツサンドやメンチカツもおすすめです。キャベツも付けてくださいと言ってもOKですよ。大盛りにしてくださいと言えば、袋いっぱいに入れますので。
高嶋さん: そうなんですね！　キャベツ買わなくてよかったんだ（笑）今日の夕飯が楽しみです。

元祖中濃ソースは購入も可能 670円

大人気のスペシャルカツ丼

時代の波に飲まれず、銀座らしさを持ち続けていたい

高嶋さん: 最後に銀座への思いや期待を教えて下さい。
渋谷さん: 銀座はやはり銀座らしさが大事。いい街だからこそ、いろいろなチェーン店も近年銀座でお店を開いていますが、そればかりになると他の街と変わらなくなってしまうと思うんです。それには、うちだけではなく、昔から続く個人商店が頑張らなくてはと思っています。
高嶋さん: 確かにそうですよね。
渋谷さん: ただ、銀座は街として広いですし、ひとりがいくら頑張っても時代の波には追いつかない部分もあります。街全体としてまとまって、銀座らしさを残そうとしていかなければと思いますね。
高嶋さん: やはり銀座梅林さんも、銀座の本店には特別な思いがありますか？
渋谷さん: はい、銀座の店は味を変えないでいたいという強い思いがあります。それと、昼から夜まで通し営業にしているのもいつ来ても美味しいとんかつをお出しするという心意気です。昔から続く銀座の飲食店はおもてなしの気持ちで、通し営業にしているとことが多いんですよ。
高嶋さん: そうだったんですね。確かに通し営業のお店をよく見かけます。
渋谷さん: 銀座という場所だから特別な商品があり、特別な心づかいがある。そんな銀座らしさというものを町全体が持ち続けていたらいいですね。