山野政彦×高嶋ちさ子

2016.02.15

バイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんがゲストの方に、銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、1892年から続く楽器店「山野楽器」の代表取締役社長、山野政彦さんです。

ミキモトから山野楽器へ。銀座で続くクリスマスツリーの光。

高嶋さん: お隣のミキモトさんが恒例で行っていたクリスマスツリーのイルミネーションを、昨年から引き継いだんですよね？
山野さん: 朝の生放送の番組「モーニングバード」で、たまたまミキモトさんのツリーが最後という特集が出ていたんですが、出演していた長嶋一茂君から「山野お前やれよ！」とテレビの生放送で言われたのがきっかけなんです。実は、長嶋一茂君とは幼稚園から大学までずっと一緒の幼馴染なんですよ。
高嶋さん: えー、本当ですか！　ちょっと笑わせないでくださいよ。うちの息子が今、長嶋一茂さんのお子さんと同じ学校なんですよ。世間は狭いですね。
山野さん: その番組以降、Twitterなどで山野楽器がクリスマスツリーをやるみだいだと世間で噂になりまして、ここでやらなければ男じゃない、という雰囲気になり、思い切ってやることにいたしました。
高嶋さん: おもしろい。そうだったんですか。
山野さん: だから、長嶋一茂君には、「お前が言い出したんだから、責任を持って点灯式に来い」と言ったら、本当に来てくれて。今後もクリスマスツリーは続ける予定です。

山野楽器クリスマスツリー

銀座はもともと商店街。これからも専門店が活気を持って続いてほしい。

高嶋さん: 最後に銀座に対する想いを教えてください。
山野さん: 僕は生まれたときから銀座を見てきました。だから、銀座に対する想いは人一倍あると思います。都電が走っていたこと、道路の上に都電の電線が蜘蛛の巣のように張り巡らされていたことも鮮明に記憶しています。
高嶋さん: もしかして、銀座の店舗の上に住んでいたとか？
山野さん: おやじの代まではここに暮らしていました。僕は住んではいませんが、本籍地は銀座なんです。それを誇りに思っています。だから、銀座は変わって欲しくないんです。日本一安心して歩ける大人の街であり続けてほしい。
高嶋さん: ほー。すごいですね。山野さんが思う、銀座の魅力とは？
山野さん: 歩道が広いこと。店頭でいろんなイベントができるのも歩道が広い銀座だからこそ、という部分が大きいと思うんです。うちでも、毎年1月2日に紅白に出た歌手が店頭でイベントをするんですよ。歩行者天国ではない日に人が集まるイベントができることも歩道が広いからこそできることです。
高嶋さん: 確かにそうですね。
山野さん: 何よりも専門店がたくさんある商店街としての街が作られているのが銀座のいいところです。町内会のつながりがしっかりしていますし、昔はみなさんお店の2階や奥の方に住んでいたから、隣近所はみんな知っていて。うちの両親の結婚式の媒酌人は、お隣の銀座木村家のご夫妻だったんですよ。
高嶋さん: おもしろい、本当に商店街ですね。
山野さん: 帽子専門店の銀座トラヤ帽子店さんは、昔からあるんですけれど、すごくいい帽子を作るお店。僕が通った小さき花の幼稚園の帽子は、昔から今も変わらず全部そこのものなんですよ。
高嶋さん: うそでしょ！　うちの兄も小さき花の幼稚園なんです！　あそこの制服の帽子、かわいいですよね。
山野さん: 共通点が多いですね（笑）。専門店が並ぶ銀座の店舗のひとつとして、山野楽器も残していかなければならないという使命感は強いです。たまにふっと、「誰かにビルを貸したら楽だろうな」なんて、悪魔がささやきますが、音楽の商売を続けて行きたいと思っています。
高嶋さん: すばらしい。
山野さん: やはり銀座は、いつまでも専門店のみんなが本業を続けていけるような街であってほしいと思います。

高嶋ちさ子

ヴァイオリニスト。6歳からヴァイオリンを始め、海外で活躍後、日本に本拠地を移し、全国各地でコンサートを行っている。現在は、演奏活動を中心としながらも、テレビやラジオ番組の出演などでそのキャラクターが評価され、活動の場はさらに広がりを見せている。

高嶋ちさ子オフィシャルウェブサイト

山野政彦

山野楽器4代目。2003年に社長に就任。最近は、50歳を機に始めたエレキギターに夢中。他にも、幼い頃から野球が好きで、趣味で10年前から少年野球の指導者をやっている。息子さん2人がいる二児の父としての顔も。

取材・文：高橋瑞穂　取材場所：銀座山野楽器

高嶋ちさ子　ニューアルバム「Strings on Fire」　絶賛発売中！

高嶋ちさ子待望のニューアルバム「Strings on Fire」がリリース！
今作は次男（6歳）のチェロと共演した「いつか二人で」を含め3曲オリジナル作品を収録。それ以外にもクラシックのスタンダードナンバーなど珠玉の全12曲収録。
大人気漫画「NARUTO -ナルト-」の作者・岸本斉史氏による描き下ろしスペシャル・ジャケットが封入。
20th Anniversaryを迎えた、色物ではない“本物”のヴァイオリニスト高嶋ちさ子の新境地とも言える移籍2ndアルバム堂々完成。

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