遠藤彬×高嶋ちさ子

2012.04.04

バイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんがゲストの方に、銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、近代美容を開拓し、1世紀に渡り女性の美をサポートしてきた「遠藤波津子グループ」の代表取締役社長、遠藤彬さんです。

四代目遠藤波津子が、皇后陛下美智子様の美容担当を拝命されて。

高嶋さん: 当時は、現在のヤマハの裏のほうにお店があったそうですが、その頃はどのような場所だったのですか？
遠藤さん: 花柳界の料亭などが建ち並ぶ場所でしたね。
高嶋さん: では、お客様も花柳界の方が多かったのですか？
遠藤さん: いえ。うちは一般の方や上流階級の方が多かったですね。美顔術は上流階級の方たちの間で大ブームになり、流行語にもなったそうです。
高嶋さん: そうなのですね。では、当時のハイソサエティな方たちは、お店で肌のケアをして、髪の毛をセットして、どこかのパーティに出かけられていたのですね。
遠藤さん: そうだったみたいですよ。でも昔は、結婚式などのお支度は、先方のお宅に伺うことが一般的だったんです。
高嶋さん: そういえば、昔はそうでしたね。ところで、現天皇陛下のご成婚に際し、皇后陛下美智子様のお支度を任されたそうですが……。
遠藤さん: 初代から宮家に顧客があった縁もあり、四代目にあたる私の母が、当時の皇太子妃美智子様の美容担当を拝命されました。東京會舘にあった遠藤美容室の支店で基礎美容などを行い、式当日の十二単に慣れるための試着を重ねるなど、晴れの日に備えてリハーサルを行っていたようです。
高嶋さん: 本当にすごいことですよね。
遠藤さん: ええ、今でもお伺いさせていただいています。大変光栄なことです。

ハツコエンドウエステティック銀座店

ハツコエンドウビューティスタジオ銀座店

休日は、書道や陶芸など日本文化にふれることも。

高嶋さん: お仕事以外、お休みの日はどう過ごされているのですか？
遠藤さん: ほとんどゴルフをしています。それから、15～16年間ほど趣味で陶芸もやっています。
高嶋さん: じゃあ、どこかに焼きに行ってらっしゃるのですか？
遠藤さん: 普段はね、『日本雅藝倶楽部（にほんみやびごとくらぶ）』という所でやっているんですよ。
高嶋さん: 日本雅藝倶楽部？
遠藤さん: お茶や陶芸、三味線など日本文化をたしなむお稽古倶楽部があるんです。必修科目に書道がありまして、私は字があまり得意でなかったので通い始めました。有名な先生が来て下さるんですよ。
高嶋さん: へえ～、知らなかったです。いろいろな日本文化を習えるのはいいですね。
遠藤さん: あとは、『銀座ロータリークラブ』に属しておりますので、週に1回は参加しています。
高嶋さん: いろいろなクラブに属されていますね（笑）。

先進性と同時に開かれた銀座であることが大事だと思っています。

高嶋さん: 子供の頃から銀座をよくご存知の遠藤さんから見て、今の銀座は当時と比べていかがですか？
遠藤さん: 子供の頃は銀座にも遊ぶ場所がたくさんありましたね。銀座通りには夜店が並び、空き地では紙芝居をやっていました。当時とは様子が変わったといえ、私にとってはホームタウンです。やはり気楽に歩ける街ですね。
高嶋さん: これからの銀座にメッセージをお願いします。
遠藤さん: 洗練された大人の街でありながら、表通りに裏通り、ぶらぶら歩いて楽しいのが銀座の魅力のひとつでしょう。これからも、銀座が魅力ある街であり続けるためには、先進性と同時に開かれた銀座であることが大事だと思っています。そんなことをすると、銀座らしさが失われると危惧されるかもしれません。でも実際、いろいろなお店が入ってきたとしても、銀座にそぐわない店は不思議となくなるんですよね。しかも、銀座には有能な若手がしっかり活動してくれているので、安心しています。今後もエールを送りたいと思います。