GINZA CONNECTIVE (高嶋ちさ子対談シリーズ)

山田 聖子×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.32

山田 聖子×高嶋 ちさ子

2014.05.02

ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんに、ゲストの方をお迎えして銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、精力的にアートに関する活動をされている「靖山画廊(株式会社アートジャパン)」の代表取締役、山田聖子さんです。

いつか銀座に画廊を出すのが夢だったんです

高嶋さん
この道に進まれたのはいつですか?
山田さん
1996年ですね。前職を辞めてから、小さな事務所を借りて1人でスタートしたんです。いつか銀座に画廊を出すのが夢だったので、「事務所の更新ごとに銀座に近づいて行こう」という気持ちで移転してきました(笑)。そしてたまたま銀座を歩いていたときに見つけたのが前の7丁目の店だったんです。そこに7年いたあと、現在の場所に移転して4年になりました。
高嶋さん
山田さんの靖山画廊では、毎月展覧会をやっているそうですね。
山田さん
ええ、そうなんです。一般的には、日本画の画商さんなら日本画だけ、洋画の画商さんなら洋画だけというようにジャンルが限られていることが多いんですけれども、私の画廊では自分たちの好きなもの、見せたいものをやろうということで、陶芸もあり、油絵もあり、彫刻もあり、というように幅広くやっているんです。とにかく、この仕事が好きなのでいろいろやりたくなってしまうんです。
高嶋さん
毎月新しい企画を考えるのって、大変じゃないですか?
山田さん
ネタはいっぱいあるんですよ(笑)。とはいえ、実際に展覧会という形にするのは大変ですね。
高嶋さん
新しいアーティストはどうやって発掘するんですか?
山田さん
私は、ナンパしてますね(笑)。いろいろな展覧会に足を運んで「コレだっ!」て思う作品に出会うと、作家さんを探して会いに行きますね。
高嶋さん
ナンパですか(笑)。となると、海外まで行ったりとかも?
山田さん
行きますね。どこまでも追っかけて行っちゃいますね。昨年はありがたいことに、ニューヨークのアートサミットにもお声をかけていただいたりしました。
高嶋さん
じゃあ、デスクに座っていわゆる社長業をするというよりは、動き回っている感じですか?
山田さん
そうですね。前の事務所のときから自分の机は作らないというポリシーなんですよ。

日本には繊細な感性や情緒から創造される、幅広く質の高いアートが存在します

高嶋さん
作品の値段ってどうやって決めるんですか?
山田さん
私の考え方としては、評価格が定められていない、これから発表する作家に関しては、労働に見合った対価としての価格を意識してつけています。あくまでアーティストも生活をしていかなきゃならないわけだから、一緒に頑張っていきましょう、という気持ちが大きいですね。
高嶋さん
全然知らない世界だから想像もつきませんね~。
山田さん
ギャラリーって、一般の方から見ると入りづらいとか分からないってイメージがあると思うんです。でも、海外ではアートが生活に溶け込んでおり、ギャラリーも気軽に足を運べる身近な存在としてあります。
高嶋さん
私もアメリカに2年くらい住んでいたんですけれど、確かに、ショッピングモールに必ずギャラリーが入っていましたね。
山田さん
そうなんですよ。普通にギャラリーがあるんですよね。
高嶋さん
で、フラッと入って行って、なんか買っちゃうみたいな。
山田さん
自然にあるから入りやすいですよね。私は、「一家に1枚以上は絵を飾ろう」と言っているんですけど、日本だと、絵が1枚も飾られていない家もあるんですよ。もったいないことです。日本には歴史もあって四季もある。そういう中で育まれた繊細な感性や情緒から創造される、幅広く質の高いアートが存在するんですが、残念ながら、日本人はそのことに気づいていない人が多いと感じます。そのためにも、音楽や美術などの教育が重要ですよね。子どもの情操教育にもいいと思います。
高嶋さん
個人の方からの鑑定依頼などもあるんですか?
山田さん
ありますよ。蔵に行ったりするとワクワクしますね~。決して有名ではないけれど、とても素晴らしい作品が出てきたりすることもありますし、こんな話もあります。ネットオークションで数万円で落札したものが、実は数千万の価値があるものだったり。
高嶋さん
え~~!!! ネットで売った人は価値がわかんなかったんですね。
山田さん
価値を知らないっていうのは怖いことですよね。だから私もネットで見てみたんですけど、ほとんどが贋作ばっかりでしたね(笑)。

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