2020年10月に銀座線・丸ノ内線・日比谷線が通る銀座駅がリニューアルしました。「人とメトロと銀座をつなぐ」場所として、駅に着いたときから「銀座らしさ」を感じられる空間を目指したプロジェクトだったと語るのは、リニューアルを担当した東京地下鉄株式会社の柴中さんと松崎さん。築80年を経た銀座駅のリニューアルに込めた思いや、知られざるトリビアまで、地下も歩いて楽しい秘密の銀座を語ってくださいました。
番組名: | Hello! RADIO CITY(中央エフエム 84.0MHz) |
放送日時: | 2021年1月7日(木)12:05~12:20 |
ナビゲーター: | JUMI |
出演者: | 柴中雄仁(東京地下鉄株式会社 鉄道本部 鉄道統括部 計画課 課長補佐) 松崎里穂(東京地下鉄株式会社 鉄道本部 工務部 建築設計第一課) |
ちょっと背伸びしたい日に
- JUMI
- 本日のAMAZINGなゲストの方をご紹介します。今日は東京地下鉄株式会社鉄道本部鉄道統括部計画課課長補佐の柴中さん、同じく鉄道本部工務部建築設計第一課の松崎さんのお二人にスタジオにお越しいただきました。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
- 柴中・松崎
- よろしくお願いします。
- JUMI
- ラジオへのご出演は初めてとお聞きしています。普段は上野にいらっしゃると思いますが、京橋にいらっしゃることもおありですか?
- 松崎
- 京橋にはよく行きますね。
- JUMI
- 京橋のお隣の銀座駅が素晴らしくリニューアルされたということで、今回お話を伺いたいと思います。リスナーの皆さんもいろんな気持ちで銀座駅をご利用されていると思います。リニューアルの裏話やトリビアも伺っていきますね。お二人は銀座駅のリニューアルには何年くらい関わられたのですか?
- 松崎
- 私は3年くらい携わっています。
- 柴中
- 私は銀座駅には3年前携わっておりまして、2年ほど関わっています。
- JUMI
- 銀座の街は、どんなときに来るイメージですか?
- 松崎
- ちょっと背伸びをしたいときとか、少し特別な食事のときに行きます。
- 柴中
- 私は銀座には高級感が漂っている街という印象を思っています。プライベートで行くときもちょっと良い買い物をしようとか、食事をしようとか、そういったときに行く街です。
キラキラの「光の結晶」
- JUMI
- 私もお二方と同じように思っています。そんななかで銀座駅は銀座の玄関口でもあり、銀座線はもちろん、丸ノ内線と日比谷線も乗り入れています。駅がどう変わったのか、いろいろお話を伺っていきたいと思います。
さっそくですが、銀座の地上の街と地下空間は、どのようなコラボレーションを考えてリニューアルされたのでしょうか。
- 松崎
- さきほどJUMIさんが銀座の玄関口とおっしゃいましたが、お客様が地下から地上に広がる街へ迷わずに出られるようにすること、そしてふと街にお出かけしてみたくなる場所にしたいという思いがあります。
- JUMI
- そうなんですね。そういう思いがあふれているのがオリエンテーションサインということですが、これはなんですか?
- 松崎
- オリエンテーションサインとは、地上に出るための階段付近や改札口の中の天井に、地上の街を描いたパネルのことです。
- JUMI
- 地下にいても地上の様子がわかるように風景がちゃんと織り込まれているわけですね。リスナーの皆さんには、銀座の駅をくまなく歩いて見てほしくて今日はこの「!AMAZING GINZA!」でご紹介しています。さらにもう1つ、パブリックアートもあるようですね。
- 松崎
- 銀座に縁のある資生堂様とコラボレーションして、日比谷線のコンコースに設置しました。吉岡徳仁先生という東京五輪大会の聖火トーチを制作された先生の、「光の結晶/ Crystal of Light」というパブリックアートが設置されています。
- JUMI
- これは“キラキラ系”ですか?(笑)
- 松崎
- “キラキラ系”ですね(笑)
- JUMI
- どんなふうに“キラキラ系”?
- 松崎
- 636個ものクリスタルガラスで構成された作品です。
- JUMI
- 素敵ですね。この作品を日比谷線のコンコースで見ることができるわけですね。今歩きながらこの番組をお聴きになっている方は、ぜひこのまま銀座駅に向かって確認していただきたいですね。作品をご覧になった街の方や利用者の方々からはどんなお声がありましたか?
- 松崎
- たくさんの方が写真を撮られていました。SNSに上げられたり、駅にも「きれいですね」というお声をいただいたりしています。
- JUMI
- いろんな利用者の方、そして地元の方々の意見を組み合わせながら見事にリニューアルされた世界に誇れる駅ですよね。
- 松崎
- ありがとうございます。
色と光でわかりやすく
- JUMI
- 銀座駅リニューアルの軸となったテーマを教えてください。
- 松崎
- 今回の銀座線のリニューアルのテーマは「伝統×先端の融合」でした。銀座線は1936年に開業していますから、駅は築80年以上経っています。
- JUMI
- すごい!戦前ですね。80年以上経つ駅を、土台は生かしつつリニューアルして、広々とした明るい駅に変えられたんですね。1936年から今まで脈々と続いている銀座の玄関口ですが、銀座エリアの駅のリニューアルは、どのようなデザインコンセプトだったんでしょうか。
- 松崎
- 銀座エリアのリニューアルコンセプトが「憧れの街~人と街をつなぐ光のゲートアベニュー」でした。
- JUMI
- 「光」というのがキーワードで、実は新しい銀座駅はいろいろな形で明かりが使われているんですよね。設計や工事の段階でたくさんのご苦労があったのではないでしょうか。
- 柴中
- 銀座線銀座駅はとても古い構造物で、床と天井までの内空の高さがもともと小さくて、天井が低かったです。銀座線は開削工事という工法で地上から地下へ掘っていきました。この工法ではあまり深くは掘れないので、構造物もコンパクトでした。そのコンパクトな空間で今の設備を設置するスペースを確保することがなかなか難しかったです。それから、駅の工事は機能を生かしながら行いますので、多くのお客様がご利用されている銀座駅は特に気を遣いながら工事を行っていました。
- JUMI
- ホームの工事ができるのは終電が終わってから始発までの間ということですね?どのくらいの期間をかけて工事されたのでしょうか。
- 柴中
- 大きな音やほこりが出る工事もあるので、お客様が利用していない終電後に工事をしていました。工事期間は4年間くらいかかっています。
- JUMI
- そうでしたか!気が付かない間に本当にみなさんのご努力で駅がきれいになっていったんですね。銀座駅を便利にご利用なさっている方がたくさんいらっしゃるわけですが、どんなところに注目して、見て、歩いて、そして利用してほしいですか?
- 松崎
- 光にご注目いただきたいですね。今回光でわかりやすくご案内するという試みを行っています。私もよく駅で迷ってしまうことがありますが、「今どこにいるか、何線のホームにいるのかがわからない」というお声をいただくことが多いです。そのため各路線のテーマカラー、例えば銀座線だったら黄色というイメージがあると思うんですが、その色に合わせた色の光で柱などをライトアップしてみました。銀座線はレモンイエロー、丸ノ内線はチェリーレッド、日比谷線はシルバーホワイトになっています。
- JUMI
- それぞれの路線の色でホームやコンコースなど、全部が統一されているんですね。覚えておくと良いですし、お子さんでもわかりやすいですね。
- 松崎
- そうなっているととても嬉しいです。また、銀座線・丸ノ内線・日比谷線はデザインやテーマが異なっているので、歩いているとそれぞれの違いを目で見て楽しめるかなと思います。
- JUMI
- そうですね。色に注目しながら銀座駅を歩くのも楽しいですね。
銀座は地下もAMAZINGに
- JUMI
- もっと気づかないトリビアがきっとあるのではないかと思うんですが、ポイントをそっと教えていただいてもよいでしょうか?
- 柴中
- 銀座線・丸ノ内線・日比谷線でライトアップされている柱や壁にご注目いただきたいです。よく見ていただくと、光っているものが、銀座線の「G」、丸の内線の「M」、日比谷線の「H」となっていて、各路線のモチーフであるアルファベットを光らせています。
- JUMI
- すごい!街歩きとかスタンプラリーに良いですね!柱や壁にアルファベットが浮き出ているんですか?
- 柴中
- ガラスの柱にアルファベットの印刷を施していて、光で照らすことによって印字されているものが浮かび上がります。
- JUMI
- 銀座線では「G」が、丸ノ内線は「M」が浮き出るんですね。すごい!ぜひみなさん写真に撮ったものをメールでお送りいただきたいですね!そしてもう1つ、各路線のモチーフが図形になっているようですね。
- 柴中
- リニューアル前に銀座駅の各路線の改札口を俯瞰してみると、銀座線が「〇」、丸ノ内線が「□」、日比谷線が「△」の形をしていました。そこで、各路線の天井や床の仕上げにそれぞれのモチーフを使いました。
- JUMI
- なるほど!そして銀座駅らしくスタイリッシュになっていますよね。本当にいろんなデザインを考えてくださったんだろうなと思います。壁の素材にも工夫があるようですね。
- 柴中
- なかなか気が付きにくいと思うんですが、日比谷線のコンコースの白い壁にタイルがあります。このタイルの縦横比をよく見ていただくと、電車の車両の縦横比とほぼ同じになっています。
- JUMI
- なんとマニアックな!!皆さんちゃんと見ましょうね!そんな細かいところにまで隠し技があったんですね!すごいですね。本当に個性豊かな路線が入っているわけですから、ぜひ皆さんに楽しんでいただきたいなと思います。新しくなった銀座駅についてご利用者からどんなお声をいただいているんでしょうか。
- 松崎
- お客様から「きれいになりましたね」というお声を本当にたくさんいただいています。
- JUMI
- 駅全体が明るくなって、これからますます銀座に行くのが楽しくなりますね。それでは最後にリスナーのみなさんにメッセージをお願いします。
- 松崎
- 銀座駅には東京メトロの路線しかないので、弊社でも特に力を入れてデザインしました。
- 柴中
- 銀座駅は銀座線・丸ノ内線・日比谷線の3路線の駅です。それぞれの路線の駅を歩くといろいろな発見があると思うので、銀座の街に遊びに行かれた際にはぜひ駅にも足を運んでいただけたらと思います。
- JUMI
- また1つ銀座の名所が増えましたね。今日のAMAZING GINZAは東京地下鉄株式会社鉄道本部工務部建築設計第一課の松崎さんと鉄道本部鉄道統括部計画課課長補佐の柴中さんのお二人にいらしていただきました。ありがとうございました。
- 松崎・柴中
- ありがとうございました。
出演者プロフィール
JUMI
2010年から中央エフエムにてナビゲーター、プロデューサーとして番組制作等に携わる。
知れば知るほど奥深く、沢山の「宝物」を有する中央区の魅力を「ヒト・モノ・コト・オト」を軸として、多くのリスナーの方々にラジオを通してお伝えしたいと活動する日々。
街と人と橋と地下鉄をこよなく愛しています。
柴中雄仁
東京地下鉄株式会社入社後、建築の設計や工事管理に従事し、2016年~2017年に銀座駅リニューアルの設計を担当。その後、独立行政法人国際協力機構に2年間出向し、現在鉄道統括部計画課にて駅工事に係る計画業務に従事している。
協力:中央エフエム株式会社(https://www.tokyometro.jp/index.html)
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