今回の「!AMAZING GINZA!」コーナーは、『ずっとこれからも美食の街・銀座、だからこの店!』第二弾。「銀座という街自体が師匠であり先生」と語る南蛮銀圓亭の星原隆志さんは、毎日銀座に来ては、街並みやいろいろなお店、商品から多くの学びを得ているそうです。逆境だからこそ際立つ人や街のあたたかさ、ありがたさをどのように捉え、ご商売につなげているのでしょうか。
番組名: | Hello! RADIO CITY(中央エフエム 84.0MHz) |
放送日時: | 2020年12月17日(木)12:05~12:20 |
ナビゲーター: | JUMI |
出演者: | 星原隆志(株式会社カリオカ 代表取締役) |
銀座の街という師匠
- JUMI
- 本日のAMAZINGなゲストをご紹介します。南蛮銀圓亭の代表取締役でいらっしゃる星原隆志さんです。星原さん、よろしくお願いします。
- 星原
- よろしくお願いします。
- JUMI
- 星原さんにはこのスタジオに初めてお越しいただきました。さて、今日のメッセージテーマは、「2020年、今年一番印象に残った風景」です。星原さんはどんな風景が印象に残っていますか。
- 星原
- 今年は本当に大変な年でしたね。銀座にもお客様がなかなか来られない状況で、私どもも緊急事態宣言中はお店を閉めていました。やはり街に人がいないのは寂しい風景でしたね。そのなかでもご近所の、最中で有名な空也さんや洋菓子の銀座ウエストさんはご商売を続けられていました。そうした姿に励まされ、前向きになることができたと思っています。
- JUMI
- さすが銀座の街だということを端々に感じられた期間じゃないかなと思いますね。今日はなかなか普段伺うことがない星原さんご自身のことも教えていただきたいと思います。銀座の街には、個人的にも毎日いらっしゃるんですか。
- 星原
- 銀座が大好きなので、用もないのに毎日歩いています。
- JUMI
- そうなんですか!銀座のどんなところがお好きですか。
- 星原
- モノもコトも人も、すべてが一流なところが好きですね。銀座を歩くといつも楽しくて、小さいころから銀座に来ることがうれしくて、憧れの街でした。今こうして経営者の立場になると、銀座の街並みを歩くだけでも学びがありますし、お店に入って商品や接客からも刺激も受けます。同時に、銀座の諸先輩方にいろいろ教えていただいたり、お叱りを受けたりすることもあります。銀座の街自体が、私を育ててくださる師匠であり先生。銀座は私にとってそんな存在です。
- JUMI
- 銀座って、実は人情に熱い街なんですよね。
逆境が引き起こす、前向きなコミュニケーション
- JUMI
- 南蛮銀圓亭さんは、非常に歴史のある有名なお店でいらっしゃいますけども、創業から何年になりますか。
- 星原
- 南蛮銀圓亭は前身の胡椒亭時代を含めますと創業約50年となります。
- JUMI
- お爺様の代から始めれたんでしょうか。主にどんなメニューがございますか?
- 星原
- そうですね。1933年に祖父が銀座にてバーを開業し約90年になります。その後、父の代に1960年コーヒーハウス銀座カリオカをオープンしたことをきっかけに、レストラン事業を拡げました。南蛮銀圓亭の看板メニューは煮込み料理のビーフシチュー、タンシチューですね。時間と手間暇をかけて、丁寧な職人の味を楽しんでいただきたいと思っています。
- JUMI
- 今このコロナ禍で、なかなか銀座の街に来られないお客様もいらっしゃいます。さらに「飲食は少人数で、できるだけ話さずに食べましょう」と言われています。「楽しく会食をする」という今まで当たり前だった日々はどこに消えてしまったんでしょう!こんな状況ですが、南蛮銀圓亭さんは現在どのように営業なさっているのでしょうか。
- 星原
- おっしゃる通り、インバウンドの需要もゼロになって、接待や会食、宴会、イベント、お店で開いていたコンサートなども中止になっています。そういった苦しい状況ではありますが、感染症の予防を留意しながら、お客様にできるだけ楽しんでいただけるように営業を続けています。
- JUMI
- 銀座の食は世界中から愛されていますが、海外の方が来られないなか、「この銀座の名店を失うわけにはいかない!」というのが私たちの強い思いです。このコロナ禍でのご商売として、南蛮銀圓亭さんではどんな工夫をされ、取り組みをなさっているんでしょうか。
- 星原
- 新しい取り組みとしては、まずはテイクアウトできるようにお弁当の販売を始めました。これは、スタッフ一人一人、若手から料理長みんなが知恵を出し合って、お弁当の箱選びからなにからなにまで、みんなで意見を出して一つの商品をつくりあげたんです。この逆境のなかで社員が一致団結して、しかもみんなが意見を出し合って前向きに仕事に取り組んでいることを感じられました。こういう状況でもポジティブに仕事に取り組めたことが非常にありがたかったです。テイクアウトと同時におせち料理も例年通り販売させていただきましたが、ご常連のお客様に非常に多くお買い求めいただきました。
- JUMI
- 皆さん応援してくださっているんですね。
- 星原
- 本当に感謝の言葉しかありません。これまで築き上げてきた信頼関係の上で商売をさせていただいていることを、この1年、ひしひしと感じました。
人の営みを、街がつなぐ
- JUMI
- 人に助けられ、街に支えられているということを、このコロナのなかであらためて噛み締めることになったんですね。
- 星原
- 「人や街に助けられている」と今おっしゃいましたが、街のいろいろなイベントにも声をかけていただきました。ユニクロさんが6月に新店舗をオープンするというタイミングで、このコーナーのタイトルにもなっている「AMAZING GINZA」と銀座の商店のロゴが載ったTシャツをユニクロさんで作ろうと、松崎煎餅の松崎宗平さんに声をかけていただきました。あとは木挽町よしやという和菓子屋さんの斉藤大地さんにお声がけいただいて、銀座ものつなぎプロジェクトにも参加しました。
- JUMI
- ものつなぎプロジェクトは、ものすごい「ものつなぎ状態」になっているみたいですね!どれだけつながっているんでしょう?というくらいいろいろなジャンルのお店、企業さんがつながっているんですよね。これは本当に「銀座ってすごい!」って思いますね。
- 星原
- 皆さん本当に銀座で商売していることに誇りやプライドを持って商売されていると思うんですね。それが共鳴し合って、仲間意識や団結力と、銀座の街の可能性を感じる機会だったなと思います。
「ごちそうさま、また来るね」が結ぶ、豊かな関係性
- JUMI
- 「銀座の食」を守るために、私たち利用者にできることはどんなことだと思われますか。
- 星原
- 銀座にまず足を運んでいただきたいですね。不要不急という言葉が先走っていましたが、銀座は「不急」かもしれませんが、「不要」ではないと私は思います。
- JUMI
- たしかに急ぎではないかもしれないけれど、不要であるはずがないですね。
- 星原
- そうですね、銀座に来れば歌舞伎や観劇を楽しめます。そのためにはおしゃれをして、お化粧もされるでしょう。そのあとデパートやブランド店でのお買い物や、レストランでお食事もされるでしょう。銀座でのすべての体験をこうしたものごとを通して楽しんでいただきたいですね。
- JUMI
- 銀座にはなにひとつとして不要なものはないんですね。体験や経験はその人のなかに刻まれていくものですから、ぜひこの機会に銀座を体験して、深く心に刻んでいただけるといいですね。そして今すぐではないかもしれないけれど、その体験がずっと記憶に残り、人生の貴重なものになって欲しいと思います。
- 星原
- 私もそうですが、やはり銀座での体験を通して自分の人生が豊かになっていると思います。銀座の街に育てられ、大きくしていただいたというのは非常に感じています。ぜひお客様にも、銀座での体験を通して生きる喜びを感じてもらえたらうれしいです。
- JUMI
- 本当にそう思います。お子さんもそうですが、「あのお店であれを食べた」という舌が覚えている体験は、人生のなかでずっと記憶に残っているものだと思うんですよね。それを一流の味で体験できることがとても大事だと思いますね。南蛮銀圓亭さんのWEBサイトを拝見しましたら、「お客様と地域社会に愛され、社員の幸せを実現いたします。」と書かれています。これは心を揺さぶられました。働いてらっしゃる従業員のみなさまが幸せを感じていなければ、お客様も「幸せだね」「おいしいね」とはならないですよね。お店の雰囲気も皆さんの体験に大きく反映されると思うんです。そういう意味では今このコロナ禍のなかで、あらためて社員や従業員の皆さんの気持ちが一つになって、一致団結したことが確認できて、皆さんとの信頼関係がさらに醸成できたということなんでしょうか。
- 星原
- 本当におっしゃる通りです。経営も大変ですし、スタッフ一人一人も不安ななかで日々を過ごしていたと思います。そんな状況でもみんなが前向きに、自発的に行動して、それが新しい商品となって実を結び、お客様に喜んでいただきました。「ごちそうさま、また来るね」というその一言をいただいて笑顔になる。それが我々の本当の喜びであることを再認識しました。この仕事を銀座でできること、銀座での仕事に携わらせていただいていることの価値をあらためて感じる機会だったのではないかと思います。
- JUMI
- 今は力を蓄える時。来年はもっとたくさんのお客様に「おいしいね」「銀座に来て、楽しい食事ができて良かったね」とおっしゃっていただけるような力の蓄え方を、今実践なさっているところなのですね。
- 星原
- とても前向きに取り組んでいます。
- JUMI
- 私たちも応援しています。これからも「銀座の味、銀座の食」をぜひ、守り続けていただきたいです。今日は銀座南蛮銀圓亭の代表取締役でいらっしゃる星原隆志さんにお話を伺いました。星原さん、今日は本当に貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
- 星原
- ありがとうございました。
出演者プロフィール
JUMI
2010年から中央エフエムにてナビゲーター、プロデューサーとして番組制作等に携わる。
知れば知るほど奥深く、沢山の「宝物」を有する中央区の魅力を「ヒト・モノ・コト・オト」を軸として、多くのリスナーの方々にラジオを通してお伝えしたいと活動する日々。
街と人と橋と地下鉄をこよなく愛しています。
星原隆志
株式会社カリオカ代表取締役。(一社)銀座インフォメーションマネジメント理事。西並木通り会理事。銀座百店会会員。銀座料飲組合会員。銀実会賛助会員。
慶応義塾大学経済学部卒業後、カリオカにて7年勤務。アメリカ留学を経て、Four Seasons Resort LanaiにてF&B Managerとして従事。2008年に家業に戻り現職。
銀座並木通り5丁目にて「西洋料理店 南蛮銀圓亭」「バーラウンジNamban1934」を経営。
http://nambanginentei.com/
協力:中央エフエム株式会社(http://fm840.jp/)
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