銀座の商店主たちがAMAZINGな銀座を紹介する、中央エフエム「Hello! RADIO CITY」の「! AMAZING GINZA !」コーナー。今回は銀座ギャラリーズ理事長の永井龍之介が出演。銀座に画廊が集まるきっかけとなったできごとや、芸術文化都市となるために銀座に必要な要素など、画廊のオーナー、そして銀座ギャラリーズを率いる代表として、銀座と画廊のかかわりを語りました。
番組名: | Hello! RADIO CITY(中央エフエム 84.0MHz) |
放送日時: | 2020年7月2日(木)12:05~12:20 |
ナビゲーター: | JUMI |
出演者: | 永井龍之介(銀座ギャラリーズ 理事長、永井画廊 代表取締役) |
1軒の企業ギャラリーから生まれた文化
- JUMI
- 今日のアメージングなゲストの方をご紹介しましょう。銀座ギャラリーズ代表、銀座永井画廊代表でいらっしゃる永井龍之介さんです。永井さんよろしくお願いいたします。
- 永井
- よろしくお願いいたします。
- JUMI
- 今回初めてお目にかかるのですが、銀座永井画廊さんは存じ上げておりました。永井さんと初めてご対面させていただき嬉しいです。さて、今日のメッセージテーマは「あなた自慢 My 〇〇」なんですが、永井さんのあなた自慢をお聞かせいただけますか。
- 永井
- 自慢になってしまうのですが。「My 鑑定団」ですね。
- JUMI
- 「My 鑑定団」!
- 永井
- テレビ東京の「開運!何でも鑑定団」に、1996年から20年間、2016年まで絵画の鑑定士として出演していました。
- JUMI
- ということはテレビで永井さんを拝見していたということですね。
- 永井
- そうだと思います。
- JUMI
- そうでしたか。まさかこのようなお答えをいただけるとは思っていませんでした。ありがとうございます。そして永井さんは、銀座の街とはどのくらい深い関わりがおありなのでしょう?
- 永井
- 父が1971年から画廊をはじめました。その後1973年に銀座でオープンしたんです。何度か場所は変わりましたが基本的には銀座ですね。私は当時は学生で、学生の身分では銀座の街は敷居が高いイメージがありましたが、父が画廊を始めた縁があって学生のころから銀座に来ていました。
- JUMI
- 永井画廊さんは銀座8丁目、並木通りと花椿通りが交差する角にありますね。
- 永井
- 1階にプロントがあるビル(河北新報ビル)の5階です。
- JUMI
- 銀座8丁目というと、夜の街のイメージがありますね。
- 永井
- 特に西並木通りは今、ブランド街になっており、昔からきらびやかなイメージがあります。またクラブなど夜のお店の中心地になっていますね。
- JUMI
- そうですよね。たくさんのお客様がいらっしゃり、クラブのママたちが美しい着物やドレスで歩いているのを見かけますね。
- 永井
- 夕方5時、6時になると「おはようございます」という声が聞こえます。銀座のイメージの一つとしてありますね。今はちょっと厳しいですが。
- JUMI
- まだ自粛を要請されているお店もあるのでしょうか。
- 永井
- 実は画廊も、4月、5月は緊急事態宣言で休業して、6月から再開しました。おそらく銀座のクラブもそうだと思います。昼間も夕方も夜も人の通りがなくて、「これが銀座なのか…」と思ってしまいました。
- JUMI
- コロナはいろいろなものを大きく変えてしまいましたね。これからはwithコロナということで私たちは前を向いていろいろな工夫をして進まなければなりません。そんななかで、銀座はアートの街であり、画廊やギャラリーがたくさんあると思っている方が多いと思います。なぜ銀座の街に画廊やギャラリーが増えていったのでしょうか。
- 永井
- 画廊の数は、厳密ではありませんが今は200~250軒あると言われています。これは日本の中でも最も集まっているエリアです。そもそも画廊の歴史をたどると「資生堂」の存在が非常に大きいです。化粧品のイメージがありますが、文化発信にも力を入れられ、銀座で一番初めにギャラリーを開いたのが資生堂なんです。昨年ギャラリーを開業されて100年が経ちました。また銀座という街が「高級な大人のショッピング街」というイメージと「絵画」のもつ高級なイメージにより、だんだんギャラリーが増えていきました。特に戦後、昭和30年、40年代に一段と増えました。
- JUMI
- もしかしたら資生堂が銀座になければ、今のような街になっていなかったかもしれませんね。
- 永井
- そうかもしれないですね。非常に大きな存在だと思いますね。
銀座の街がひとつの美術館 作家とともに成長し、歩んで
- JUMI
- それから脈々と銀座でアート、ギャラリー、画廊と接することができるようになりました。また「銀座ギャラリーズ」という団体がありまして、この理事長を永井さんが務められています。銀座ギャラリーズを立ち上げられたきっかけを教えていただけますか?
- 永井
- 銀座の画廊はそれぞれ個々に仕事をなさっていましたが、2000年代になり共同のイベント等で皆さんを喚起していこうということになり、2004から銀座ギャラリーズは始まりました。それ以降、「画廊の夜会」や「アフタヌーンギャラリー」、「クリスマス・アートフェスタ」など折々のイベントを仕掛けています。多くの人に銀座に注目していただきたいということから銀座ギャラリーズは動いています。
- JUMI
- そういうことなんですね。はじめに申し上げましたが銀座は大人の街、高級なものがあるという認識があります。絵を買うという目的を持たずギャラリーや画廊に入ってはいけないと思っている方もいらっしゃると思います。そのようななかで銀座ギャラリーズが立ち上がったことによりアートを身近に感じることができるようになったのではないでしょうか。
- 永井
- そうですね。なかなか縁がないと入りづらいかもしれません。特に今はビルの中のある画廊が多いので、エレベーターに乗って扉を開けることにすごく勇気がいると思います。ただ、敷居が高いと言われますが、決してそんなことはありません。よく私も話をするんですけれども、画廊はタダで絵を見ることができますよね。そこでお客様にとって良い出会いがあれば良いなあと思っています。「銀座を一つの美術館」という認識で歩いていただければ、銀座に来る楽しみも増えるのではないでしょうか。
- JUMI
- 本当にそうですよね。古いものから現代アートまであらゆるものがあります。私たちは「画廊の夜会」に参加すると、美術館であれば何千万、何億円という値のつく絵を1m以内で見ることができますよね。
- 永井
- はい。そういったものを見ることもできます。一方、何千円、1、2万円からお小遣い程度で手に取ることのできるアートもあるんです。永井画廊では若手を発掘する企画をしています。現代作家ですと、作品だけでなく、どういう思いで絵を描いているのかアーティストと直接コミュニケーションを取ることができます。それも非常に楽しみになると思います。
- JUMI
- 若い作家さんがどんどん成熟していくのも見ていけますね。
- 永井
- 若い作家の絵を購入してあげることがその方の励みにもつながりますし、作家さんとともに成長し、歩んでいくことができますね。画廊オーナーや作家と接する機会を持てるのが銀座のギャラリーではないかと思います。
- JUMI
- 「画廊の夜会」や「アフタヌーンギャラリーズ」は、本当にすばらしい企画だと思います。いろんな方が参加して、今やお子さま連れで、ファミリーで参加されています。
- 永井
- フリーで回ることもできますが、ギャラリーツアーというものがあり、自分の好きなコースを回ることができます。そこで気に入った画廊や作家に出会うことができればそこから画廊や作家とのコミュニケーションが始まり、一つのステップを踏むことができます。
- JUMI
- そうですよね。実は「Hello! RADIO CITY」でコーナーを担当していただいているアートライターのヒロさんも実はツアーの引率をして回っています。身近にもっとアートを感じてほしいということなんでしょうね。
- 永井
- そうですね。
個々の輝きと、シンボルの必要性
- JUMI
- これからの銀座ギャラリーズはどのように発展していくのか、そして銀座のアートのあり方をお聞かせください。
- 永井
- 銀座はギャラリーの歴史が100年あり、見識ある画廊がたくさん集まっている。たくさん集まっているということは、いいアートに出合う確率が高い。それをもっとアピールしたいと思っています。特に世界的に現代アートが流行しているわけなんですが、海外の人に日本のアートの中心地を尋ねると必ずしも銀座ではないんですね。
- JUMI
- そうなんですか。
- 永井
- 特に六本木と言われることが多いです。
- JUMI
- それは国立新美術館や森美術館などがあるからですか。
- 永井
- そうですね。つまり核になるものが目立つわけですよね。残念ながら銀座にはこれだけの画廊がありながら核になるシンボル、美術館がないんですね。私としてはシンボルができればそれを核にしてさらにアピールできるのではないかと考えています。
- JUMI
- 京橋にはアーティゾン美術館がオープンしましたが、アーティゾン美術館とツインとなれるような美術館があるといいですね。
- 永井
- 実は前から思っていたんですが、築地市場の跡地に何を建てるかわかりませんが、もし可能性があるのであればそこに美術館のようなものができれば、銀座・京橋・日本橋全体が一つの美術の街としてアピールできるのではないかと思っています。
- JUMI
- 歌舞伎座もありますし、能楽堂もできましたし。
- 永井
- そうですね。まさにAmuseな街になると思いますね。
- JUMI
- 私たちは銀座という街がwithコロナの中どのように発展していくのか。またそのなかでアートは外すことのできない要素だということを感じています。
- 永井
- 実は「画廊の夜会」を例年5月に開催していたのですが、今年はオリンピック・パラリンピックがある前提で7月に行う予定でした。残念ながらオリンピック・パラリンピックも延期になり、コロナの影響もあって「画廊の夜会」は中止になってしまいました。なにかアートに触れることのできる機会を作りながら、アートの楽しみ、本質を銀座ギャラリーズから得ることができるようにしていきたいと考えています。コーナー冒頭の「MY〇〇 あなた自慢」ではないですが、「MYアート」、そこに触れる機会を持っていただきたいですよね。
- JUMI
- 銀座とともにアートがあり、アートというものがどれだけ街を発展させてきたかも意識していきたいと思います。
- 永井
- アートの素晴らしさは、見る人の感性を触発させる何かがあるということです。皆さまにとっての「My アート」を銀座で見つけていただきたいですね。
- JUMI
- ありがとうございました。今日のアメージングなゲストは銀座ギャラリーズ代表、銀座永井画廊代表でいらっしゃる永井龍之介さんでした。永井さんありがとうございました。
- 永井
- ありがとうございました。
出演者プロフィール
JUMI
2010年から中央エフエムにてナビゲーター、プロデューサーとして番組制作等に携わる。
知れば知るほど奥深く、沢山の「宝物」を有する中央区の魅力を「ヒト・モノ・コト・オト」を軸として、多くのリスナーの方々にラジオを通してお伝えしたいと活動する日々。
街と人と橋と地下鉄をこよなく愛しています。
永井龍之介
1956年東京生まれ。立教大学経済学部卒業。永井画廊代表取締役。2019年より銀座ギャラリーズ理事長。近・現代美術を扱う国立西洋美術館をはじめ公立、私立美術館への納品多数。軽井沢千住博美術館創立に関わる。「公募ー日本の絵画ー」主催。テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」、NHK BSプレミアム「ゴッホとゴーギャン、セザンヌ、ルソー19世紀末の天才画家たち」等テレビ出演多数。「知識ゼロからの名画入門」、「世界でいちばん素敵な西洋美術の教室」、「名画のなかの恋人たち」監修。その他講演会多数。
https://www.nagai-garou.com/
https://www.ginza-galleries.com/
協力:中央エフエム株式会社(http://fm840.jp/)
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