中央エフエム「Hello! RADIO CITY」では、隔週でAMAZINGな銀座を紹介しています。外出自粛要請を受け、銀座通りでは長年親しまれてきた歩行者天国も中止になりました。「新しい日常」とともに世の中が動き出すなかで、銀座はこれからの都市のあり方を模索しています。今回は全銀座会の事務局長を務める竹沢えり子が出演。前代未聞の事態を銀座はどのように乗り越えようとしているのでしょうか。
番組名: | Hello! RADIO CITY(中央エフエム 84.0MHz) |
放送日時: | 2020年4月2日(木)12:05~12:20 |
ナビゲーター: | JUMI |
出演者: | 竹沢えり子(一般社団法人銀座通連合会・全銀座会・銀座街づくり会議事務局長) |
若葉芽吹く今、銀座で起きていること
- JUMI
- 毎月2回お送りしている「! AMAZING GINZA !」コーナー。銀座の街が放つ多様なきらめきを、銀座で活躍している方独自の視点でご紹介いただきます。AMAZINGな銀座発見のヒントとしてぜひお聴きください。
さて、本日スタジオにお招きしたのは、一般社団法人銀座通連合会・全銀座会・銀座街づくり会議事務局長の竹沢えり子さんです。竹沢さんこんにちは。
- 竹沢
- こんにちは。
- JUMI
- よろしくお願いします。銀座からスタジオのある東京スクエアガーデンまで歩いてお越しいただきました。地下広場の桜が満開になっていますね。
- 竹沢
- そうですね。すごくきれいでした。
- JUMI
- そして銀座通りは、ちょうど街路樹が植え替えられたところですね。
- 竹沢
- はい。植え替えが終わったばかりのカツラの木が新緑の季節に入り、芽吹いてきました。
- JUMI
- 本当に良い季節になりましたね。この時期は自宅にいる方も多いと思いますが、竹沢さんは家で何をしていますか。
- 竹沢
- 最近は家庭菜園に夢中です。庭にいろいろな野菜を植えて楽しんでいます。
- JUMI
- 収穫できましたか?
- 竹沢
- 季節ごとに野菜を植えていて、去年はブロッコリーやキュウリなど、嫌いになるほどたくさん取れました。今年もたくさん植えたいと思います。
- JUMI
- すばらしいですね。
- 竹沢
- 植物は日々着実に育ってくれるので、見ていて楽しいです。そして生きる力を感じます。
- JUMI
- そうですよね。番組の冒頭でも申し上げましたが自然は正直で、季節をちゃんと感じさせてくれますね。そのような中で、新型コロナウィルス感染拡大の影響によって、銀座の人通りが少なくなっているように感じます。
- 竹沢
- かなり少なくなっているのが現状だと思います。本当は大勢のお客様に気持ち良く通りを歩いていただき、にぎわいがあふれているのが銀座の本来の姿だと思います。それに比べると、今はかなり寂しい感じですね。この状況がいつ終わるのか、先が見えない不安があります。
- JUMI
- 世界中の誰もわからない、という状況ですものね。やはりコロナウィルスの影響でインバウンドは減っていますか。
- 竹沢
- 以前の銀座通りは、海外のお客様がたくさんいらっしゃったのですが、今は本当に減ってしまいました。ただ、お店の売り上げとしては、インバウンドの割合は多くても3割程度というお店が多かったです。3割減でもかなり大きな打撃ではありますので、一刻も早く海外のお客様に戻っていただきたいという気持ちはありますが、やはり今は日本人のお客様がかなり減っていることが大きな問題であると感じています。それから外出自粛のために、飲食店だけではなく、物販店も相当大きな影響を受けています。
- JUMI
- 銀座は百貨店も多いと思いますが、どのような状況でしょうか。
- 竹沢
- 百貨店も土日休業という状況が続いています。ただ、銀座のお店の大半は中小零細の小売店で、そうしたお店は日々の売り上げで生計を立てています。銀座といえども、そこは全国の小売店と状況は変わりません。本当に厳しい状況だと思います。
- JUMI
- 私自身もそうですが、「銀座のあのお店の大ファンなの」という方がたくさんいらっしゃると思います。見に行きたい、買いに行きたい。けれど行けないというもどかしさを抱えていらっしゃるように思います。
- 竹沢
- そうですね。私たちも自粛の中、「ぜひ来てください」と言えないのがつらいところです。
- JUMI
- 私たちを楽しませてくれている、週末の歩行者天国も中止になっているそうですね。
- 竹沢
- 小池都知事による外出の自粛要請を受けまして、先週末の歩行者天国を中止にしました。また今週以降も当面中止と決定しました。楽しみにしていただいている銀座のお客様には本当に申し訳ないと思っています。50年以上の歴史がある歩行者天国がこのような形で中止になるのは本当に悲しいですが、仕方ないことなのかなと思っています。
- JUMI
- 誰のせいでもないですが、歩行者天国で開放的な1日を過ごされていた方にとってみても、本当に残念に思います。これは私たちが乗り越えなければならない危機的な状況ですが、この困難な状況を乗り越えられないわけはないと信じていきたいですね。
痛みを共有しながら、前代未聞の危機に向き合う
- JUMI
- 今一番苦労なさっていることは何でしょうか。
- 竹沢
- 銀座のお店が日々の売り上げがないことでしょうか。先ほども申し上げましたが皆さんに「銀座に来てください」とは言えません。そのような中、従業員さんのお給料や、高い家賃をどう払っていくか、非常に切羽詰まった問題が発生しています。またビルオーナーさんには固定資産税などの税金の問題が今後重くのしかかってきています。
行政や民間の銀行でも無利子の融資などを考えてくださりありがたいことですが、融資というのはいずれ返済しなければならないお金です。今後どうしたら良いか、みなさん困ってらっしゃいます。今、国もいろいろな施策を考えているようですが、施策と休業に対する補償がセットであることが、今後事業を継続する上で重要ではないかと思います。
- JUMI
- 銀座4、5丁目付近は、全国で1番地価が高くて、いつも話題になりますね。
- 竹沢
- つまり、それは税金が高いということなんですよ。
- JUMI
- 銀座にある老舗のお店に行くと、その道のプロの販売員の方が接客してくださいますが、そういった方をこれからもずっと雇用していきたいと経営者の方も思っていることでしょう。
- 竹沢
- そうですね。特に老舗は何百年も続いています。代々培ってきた信頼や専門的な知識をどう存続していくか。危機的な状況かもしれませんね。
- JUMI
- 何百年に一度、前代未聞のウィルス流行がなぜ今?と思ってしまいますが、ご苦労の一端を教えていただきありがとうございます。
これから銀座の街をどうしていくのか、具体的に教えていただけますか。
- 竹沢
- 具体的に私たちがどうしたら良いか、正直なところわかりません。日本中、世界中の人々が立ち向かっている前代未聞の危機なので、そこに日々向き合っていくしかないと考えています。根本的には治療薬が見つかり、お客さまが安心して銀座に戻っていただけるようになるまでじっと耐えていく。そして耐えた痛みをみんなで共有していくしかないかもしれません。
笑顔で「銀ぶら」を楽しめる日を待ちながら
- JUMI
- 今だれがどんな思いでいるか、どんなことをすれば傷つかずに共存していけるのか、想像力を働かせて、想いを膨らませていくことが大切ですね。
では最後に銀座からのメッセージをお願いします。
- 竹沢
- メッセージというとちょっと大げさかもしれません。今、具体的にできることは何もないのですが、銀座は明治維新のころにまちづくりが本格的に始まり、約150年の歴史があります。その歴史を振り返ってみると明治の大火や関東大震災、第二次世界大戦による戦災など、いくつもの試練を乗り越えてきています。いずれも銀座の街がすべて焼けてしまうようなできごとでした。
戦後も、オイルショックやバブルの崩壊、リーマンショック、そして東日本大震災などいろいろなことがありました。
前回のラジオ出演時に申し上げましたが、銀座通連合会が昨年(2019年)創立100周年を迎えました。歴史をまとめた100年史の製作過程を通して、いろいろ勉強するなかで、危機的状況であっても、銀座の人々が創意工夫をしながら一致団結して、ますます魅力的な銀座をつくってきたことがわかりました。
私は今回のコロナウィルスの状況を必ずや乗り越えられると信じています。乗り越えた暁には、世界中、日本中からお客様が銀座に集まり、笑顔で「銀ぶら」を楽しんでいただける日が来ることを心から待っています。
- JUMI
- 私も心からそう思います。そして中央区のたくさんの商店やお住まいのみなさん、働いていらっしゃるみなさん、お買物に行きたいと思っていらっしゃる方々が、いつか必ず笑顔で青空の下で、銀座の街を歩いてほしいと思っています。私自身も、みなさんが明るく元気になれる話題を伝えていけるようにがんばりたいと思っています。
本日は、一般社団法人銀座通連合会・全銀座会 事務局長竹沢えり子さんに、いろいろな銀座を教えていただきました。竹沢さんありがとうございました。
- 竹沢
- ありがとうございました。
出演者プロフィール
JUMI
2010年から中央エフエムにてナビゲーター、プロデューサーとして番組制作等に携わる。
知れば知るほど奥深く、沢山の「宝物」を有する中央区の魅力を「ヒト・モノ・コト・オト」を軸として、多くのリスナーの方々にラジオを通してお伝えしたいと活動する日々。
街と人と橋と地下鉄をこよなく愛しています。
竹沢えり子
一般社団法人銀座通連合会/全銀座会/銀座街づくり会議・銀座デザイン協議会事務局長。慶應義塾大学文学部卒業。出版社勤務、企画会社経営を経て、1992年頃より銀座まちづくりに関わる。2011年東京工業大学社会理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。著書『銀座にはなぜ超高層ビルがないのか』(平凡社新書、2013)、共著『銀座 街の物語』(河出書房新社、2006)ほか。
協力:中央エフエム株式会社(http://fm840.jp/)
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