一つの大規模開発をきっかけとして発足した銀座街づくり会議は、2019年で発足15年を迎えました。今では銀座街づくりの中枢を担い、銀座のさまざま課題を議論し、ビジョンを共有する場として機能しています。隔週で銀座の商店主が銀座を紹介する、中央区のコミュニティFM「中央エフエム」の「!AMAZING GINZA !」コーナー。No.4は、全銀座会街づくり委員長の東條幹雄が出演しました。
番組名: | Hello! RADIO CITY(中央エフエム 84.0MHz) |
放送日時: | 2020年3月19日(木) 12:05~12:20 |
ナビゲーター: | JUMI |
出演者: | 東條幹雄(一般社団法人銀座通連合会副理事長、全銀座会街づくり委員長、株式会社ワシントン靴店副会長) |
元気とパワーをくれる、居心地の良い街
- JUMI
- 今日のアメイジングな銀座のゲストの方をご紹介しましょう。全銀座会街づくり委員長、銀座通連合会副理事長でいらっしゃいます東條幹雄さんです。東條さんよろしくお願いいたします。
- 東條
- どうぞよろしくお願いいたします。
- JUMI
- 東條さんは株式会社ワシントン靴店の代表取締役社長(2020年3月当時)でもいらっしゃいます。今日もすてきなお靴を履いていらっしゃいまして、私はそこを見逃しませんでした。東條さんご自身は、ラジオにご出演されたことはありますか?
- 東條
- 2回目になります。
- JUMI
- お若いころは、ラジオを聴いてらっしゃいましたか。
- 東條
- そうですね。昔は深夜放送の中島みゆきさんなどを聴いていました。
- JUMI
- 聴いていましたか。もしかして、リクエストの手紙なんか書いていたりなさったんですか。
- 東條
- そこまでしなかったですけどね。欠かさず聴いていましたね。
- JUMI
- そうでしたか。実は今日のメッセージテーマが、「これはやっておけばよかったと思うこと」なのですが、東條さんは何かおありですか。
- 東條
- アメリカによく行っていたのですが、なかなか他の国に行く機会がなかったので、ぜひアフリカ、自然のサバンナなどには行っておけばよかったなと思っています。一歩踏み出して旅行に出るのは、仕事やいろいろなことでなかなか行けないでいます。
- JUMI
- なかなか長いお休みを取ることが難しいですよね。しばらくは画像や映像を見て楽しむことになるんですかね。
- 東條
- 最近は、ナショナルジオグラフィックなどを見ながら、サバンナの様子を見て楽しんでいます。
- JUMI
- そんな東條さんは、ワシントン靴店では3代目ですね。銀座では、銀座街づくり会議に委員長として関わっていらっしゃいます。銀座街づくり会議は発足から15年経ったんですね。東條さんご自身にとって、銀座はどんな街なんでしょうか。
- 東條
- なかなか一言では難しいですが、銀座は私自身に力、パワーをくれる街だと思います。
- JUMI
- 例えば、どんなところで、どんなパワーを。
- 東條
- 国内外で有名なブランドショップのショーウィンドウや店の装飾を見て、季節の移り変わりを感じながら元気をもらっています。それから先ほどご紹介いただいた全銀座会、銀座通連合会の先輩や同期、後輩たちも多く銀座におりますので、道端でふと会ったときに声をかけてもらったりとか、何気ない会話によってみんなから元気をもらっています。銀座は私にとってとても居心地の良い街です。
- JUMI
- いいですね。東條さんの銀座愛をひしひしと感じます。
- 東條
- ありがとうございます(笑)。
協議型の銀座街づくり
- JUMI
- そんな中で、銀座街づくり会議、これが15年になるということですが。そもそもこの銀座街づくり会議はなぜできたのか、その歴史から教えていただけますか。
- 東條
- はい。銀座街づくり会議は2004年に発足しました。実は1998年に地区計画「銀座ルール」が中央区のもとで制定され、そのころすでに先人たちは、銀座には街づくり会議が必要であることを文章や図式で残しています。
- JUMI
- もう20年以上前ですね。
- 東條
- そうですね。2003年に銀座に森ビルさんと松坂屋さんによる超高層ビル建築計画が浮上しました。銀座としては、本当に超高層ビルが必要なのか、かなり議論が深まり、そして2004年に街づくり会議は発足されました。
- JUMI
- 先人の方達は銀座という街をこれからどういった方向に、どんな風に進んでいくべきかをずっと考えてらっしゃって、それが街づくり会議として形になったのが2004年ということですね。
- 東條
- そうですね。そして、その2年後の2006年に、超高層ビルは銀座らしくないのではないかと議論が深まり、当時「都市再生特別措置法」に定められていた、計画によっては地域のルールを超えて超高層を建てられるという例外事項を外した内容で、地区計画「銀座ルール」を改正しました。この例外をなくすことによって、銀座は56m以上のビルが建てられないという、街の意見がしっかりと反映されたルールに変わりました。
- JUMI
- 中央通りで歩行者天国のときに、空を見上げても青空が間近に見えることが、なんかうれしいことだなって思うんです。
- 東條
- おっしゃる通りですね。超高層ビルが建ち並んでしまっては、もう空は見えなくなりますが、56mであれば、しっかりと青空と素敵な街並みとが融合された銀座が出来上がると思います。先人たちと我々との思いがしっかりと融合されたルールになったと思います。
- JUMI
- そういう意味では、銀座街づくり会議はなくてはならない組織になったと思います。日常の活動としては、具体的にどんなことをなさっているのでしょうか。
- 東條
- 2003年から、数多くのシンポジウムを年に数回行っています。銀座のにぎわいであったりとか銀座の交通問題など、さまざまなテーマで、多くの方に銀座に興味を持っていただいています。
- JUMI
- 実は私も、このシンポジウムに参加させていただいたことがあります。一般の方でも、WEBから参加申込みができるんですよね。BRTという交通システムが議論されたときにも聴きに行きました。他にもすごくおもしろい切り口のシンポジウムがありましたね。
- 東條
- かなりたくさん開催してきました。銀座のにぎわいは人が作るものであるとか、さまざまな問題をシンポジウムで皆さんと一緒に議論しています。
- JUMI
- 私が参加したときも、シンポジウム自体もとてもたくさんの方が真剣にお聴きになっていて、質問もやり取りがリアルに行われていました。みなさんが銀座の街を良くしたいとか、興味を持っている方の多さを実感しますね。
- 東條
- シンポジウムでは、専門家の先生とパネリストが数名登壇して議論します。また会場の参加者からも質問を投げかけられて、銀座をどのように良くしたいのか、またどうしたら魅力的な街になるのか、立場を超えて、みなさんがいろんな議論をする場になります。
- JUMI
- 銀座我が街、我が事というか、そんな印象を持ちます。さあ、この銀座の街づくり、今東條さんが一番重要だと考えてらっしゃる点はどんなことでしょうか。
- 東條
- 街づくりの中では、駐車場の問題ですね。東京都駐車場条例によって駐車台数が定められています。車の利用は地域の特性によって異なると思いますが、一律で台数が決まっています。そこで銀座では、中央区と協議して、駐車場を大規模な施設などに隔地できるように駐車場「銀座ルール」をつくりましたが、車を取り巻く環境も変化していて、余剰駐車場が増えています。それから銀座にはコインパーキングがたくさんあります。それによって、素敵な街並みやお店の写真に撮りたくても、ふと撮ると路上にすべて車が駐車されている状態になってしまって、あまり素敵にならないんです。
- JUMI
- 銀座独自のコインパーキングルールみたいなのがあっても良いのかもしれないと思ってしまいます。
- 東條
- 大規模な駐車場などはかなり空きが出ています。本来であれば銀座のコインパーキングをすべてなくして、お身体の不自由な方の車と荷捌き用のパーキングスペースをキチっと所定の場所に用意する。一般の車は、今ある大規模な駐車場に車をしっかり入れていただくことによって、街並みも綺麗になる。そうすると、歩道も少し広くなって、歩く人や車椅子の方が通るにもゆったりとした歩道になると思いいます。「銀ぶら」と言われるように、銀座をお買い物やお食事で楽しんでいただきたいと思います。
- JUMI
- 中央区は、非常にファミリーが増えてきていて、小さいお子さんをベビーカーでお連れのお母さんたち、お父さんたちもいらっしゃいますから、歩きやすい街がこれまで以上に重要ですよね。
- 東條
- 銀座の目指す「人にやさしい街」が一つのテーマだと思います。
- JUMI
- そうですね。これまでの活動の中で一番印象深かった活動はどんなことでしょうか。
- 東條
- この銀座街づくり会議は、行政が決めたことを街がそのまま受けるとか、街の意見を行政がしっかり受けてくれるとか、そういうことではなくて、行政と街と、その2方向から、いらっしゃるお客様にどのように感じていただくかをしっかり協議して、議論しています。街はこうあるべきじゃないかとか、銀座をこういうことを目指しているとか、銀座にふさわしいものはなんだろうか、または銀座らしさとは何か。こういうことをしっかりと協議して、追求していくのが銀座の協議型の街づくりですね。
- JUMI
- 決して一人のトップダウンではなくて、時間をかけていろんな人の話を聞き、意見を交わしながら作られている街なんですね。
- 東條
- 会議の中には、専門家の先生も入っていただいています。専門家の意見を聞きながら、その方々の見識や他の街のいろんな情報もお聴きします。そのうえで銀座はどうあるべきかをみんなで議論する。本当に良い協議型を先人たちは続けてきました。我々もこれから絶やさず、ずっと続けていかなければいけない会議のあり方だと思っています。
- JUMI
- この銀座街づくり会議、私もこれからもシンポジウムなどに参加しながら、どんなことを議論しているのか知っていきたいと思います。街の変化を自分で実感することができるわけですものね。
なんとなく、自然にできあがっていく「銀座っぽさ」
- JUMI
- 東條さんが思う銀座の魅力、そしてこれからの銀座の街づくりを教えていただけますか。
- 東條
- そうですね、銀座は新しい発見のある街だと私は思います。昔から商売されているお店も常に進化を続けていて、そして新しいブランドやショップができることによって、また街の様子も変わってくる。それから一言で言うと「銀座らしさ」という言葉で表現されますが、「銀座らしさ」とは、やはり自分だけが目立てばいいということではなくて、周りのみなさんとの調和だと思います。銀座にいると、先ほども申し上げたような心地よさとか、みなさんが感じる「銀座っぽさ」は、銀座で商売をしたり、お店をやられたりしている中で、なんとなく自然にできあがっていくものなのかなと感じています。そんな街が銀座だと思います。
- JUMI
- 今、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために自粛されているお店も多いと思います。銀座の歩行者天国は、今日みたいなお天気な日だったら、青空の下で楽しみたくなりますね。
- 東條
- 歩行者天国は土日祝日だけの限られた時間ですが、ゆったりとみなさんに歩いていただけるといいですね。
- JUMI
- 今は決して大きな団体という形ではなくて、ファミリーであったり、お友達同士とか、ちょっと小グループにもなるかもしれないけれども、ぜひ銀座にはお越しいただきたいなと思いますね。
- 東條
- はい。本当にそう思いますね。
- JUMI
- 銀座の街をゆっくり歩ける時期でもありますので、この機会にたくさんの発見をしていただきたいと思います。それでは、最後になりますけれども、ぜひ東條さんからリスナーのみなさまに一言メッセージをお願いできますか。
- 東條
- 銀座にいらしていただきたいです。みなさんの方でも最低限の衛生面は気をつけていただいて。銀座の街もみなさんをお迎えするにあたって、最上級の衛生面をしっかりとケアした状態でお待ちしています。ぜひ銀座で、ご家族でお買い物やお食事を楽しんでいただきたいと思います。
- JUMI
- 本当にそう思います。というわけで、今日は全銀座会街づくり委員長であり、銀座通連合会副理事長でいらっしゃる東條幹雄さんをお招きしました。東條さん、ありがとうございました。
- 東條
- ありがとうございました。
出演者プロフィール
JUMI
2010年から中央エフエムにてナビゲーター、プロデューサーとして番組制作等に携わる。
知れば知るほど奥深く、沢山の「宝物」を有する中央区の魅力を「ヒト・モノ・コト・オト」を軸として、多くのリスナーの方々にラジオを通してお伝えしたいと活動する日々。
街と人と橋と地下鉄をこよなく愛しています。
東條幹雄
1999年 株式会社ワシントン靴店に入社、2012年より代表取締役社長。銀座5丁目に創業87年、『靴を販売することを通じてお客様にご満足と幸せをお届けする』を理念に会社経営に尽力。2020年6月副会長。一方、2000年に銀座の青年会『銀実会』に入会。2006年度の銀実会理事長を務める。2006年より銀座街づくり協議会オブザーバー参加し、年間200件を超える協議案件に携わる。2019年より一般社団法人銀座通連合会副理事長、全銀座会街づくり委員長。
https://www.washington-shoe.co.jp/
写真提供・協力:中央エフエム株式会社(http://fm840.jp/)
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