銀座は2020年に向けてプロジェクトを始めている!
今日はよろしくお願いします。まず、G2020というプロジェクトについて遠藤会長にお聞きしたいと思います。
- 遠藤
- 皆さんご存知の通り、2019年のラグビーワールドカップ、2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会と、世界三大スポーツイベントの2つが数年後に控えています。特に夏季オリンピック・パラリンピックに関しては、選手村に近い繁華街である銀座へ、たくさんの選手、大会関係者、そして日本はもとより世界中からの多くの観光客が訪れることが予想されています。銀座を訪れる方々に、銀座や日本をいかに快適に楽しんでいただくか、街としてしっかりと対応するために発足したのが、「G2020」プロジェクトになります。
- 高桑
- 確かに選手村から銀座まで歩ける距離で、近いですね。
- 遠藤
- ぜひ試合後には、周りの選手の方を誘って銀座へ遊びに来てください。ちなみに、普段買い物やお食事などで、銀座へは来られますか?
- 高桑
- ありがとうございます(笑)。実は銀座ってこれまで、あまり自分から積極的に訪ねていく街ではありませんでした。母や姉が好きなので、それについて行くくらいで。
- 遠藤
- じゃあこれを機に、自ら訪ねていただく機会を増やしていただけるといいですね。
「銀座」が、障がいを持った人のモチベーションになる!?
実は遠藤さんのお店「ハツコエンドウ」、高桑さんにとっては今回の対談の前段階からなじみがあったそうですよ。
- 高桑
- 私は小学生の頃、シンガポールに住んでいたことがあるのですが、その当時母親たちが「日本人の経営する美容室」として話題にのぼっていたのが「ハツコエンドウ」でした。
- 遠藤
- そうでしたか。シンガポール店は、今は撤退してしまったのですが、当時はいろんな企業の駐在員の方がシンガポールに結構いらっしゃって、出店していました。そんな縁があったとは、うれしい限りです。
- 高桑
- いつになるかはわかりませんが、私も結婚する時が来るのだろうと思うので、その時はお世話になるかもしれません(笑)。
- 遠藤
- こちらこそ、ぜひ(笑)。しかし高桑さんはテレビで見ていた時はすごく大きな印象を受けていたのに、実際にお会いしてみると思った以上に小さくてかわいらしいお嬢さんですね。
- 高桑
- テレビで映っている時は膨張して見える、ということでなければ良いのですが(笑)。「思ったより小さいね」とは、よく言われます。
- 遠藤
- お聞きしていいことかわかりませんが、障がいをお持ちになって、それでスポーツに取り組もうと思われたのはなぜでしょうか。
- 高桑
- 私は病気で足を失う前にはテニスをやっていて、もともとスポーツが好きでした。実は足を残すという選択肢もあったのですが、主治医の先生から「スポーツを続けるなら、切断して義足で続ける方が(スポーツを続けられる)可能性が高い」というような話をいただいて、私はそちらを選びました。両親は私が「女の子だから」と残す方を勧めていましたけれど。
- 遠藤
- そんな決断をされるのは、素晴らしいと思いますね。しかもアスリートとして成功も収められているから、ご両親もご苦労はいろいろあったでしょうけど、お喜びじゃないですか。
- 高桑
- そうですね、陸上選手としてある程度の結果を出せてきたこともそうですが、むしろ同世代の女の子と同じように私が生活できていることに喜んでくれているようにも思います。それが両親の望んでいたことだったので。
- 遠藤
- 障がいを持って、そこまでがんばれるモチベーションって何でしょう?
- 高桑
- 私の場合は「スポーツがやりたい」という気持ちでしたが、同じように障がいを持った人の中には「みんなと一緒に原宿を歩きたい」という気持ちでがんばっている女の子もいました。だから中には「銀ブラがしたい」とがんばる人もいるのではないでしょうか。
- 遠藤
- なるほど、銀座がそういう人たちのモチベーションになれるような街であり続けなければいけないですね。
今、銀座は「障がい者ファースト」な街を目指している。
高桑さんのように若い人や障がいをお持ちの方が、今よりもっと親しみやすく銀座を訪ねられるようになるといいですね。
- 遠藤
- それはまさに2020年に向けて銀座が取り組まなければならない課題であり、まさに今いろいろな取り組みを行っているところです。
- 高桑
- でも、私のように障がいを持っている人からすると、銀座って歩きやすい街だと思いますよ。世界を転戦していると、たとえばロンドンなんかは石畳だし、段差のあるところは多いしで、ハード面ではあまり障がい者ファーストな感じはしません。ですが、一方でたとえば地下鉄にベビーカーで乗ろうとする人がいたらよってたかって手助けしたり、段差のあるところには車椅子マークのついたボタンがあったりする。ロンドンは、障がいのある人に向けた「おもてなし」とか、「心意気」を感じます。
- 遠藤
- そこは銀座も、ロンドンと似ているところがありますね。銀座という街はそもそも小さな商店が集まって成り立っているようなところがあるので、エレベーターの設置や段差解消などのハード面全てをバリアフリーにしようと思うと、費用負担も大きく、2020年までには対応するのは難しいのが現状です。そこで全銀座会で取り組んでいるのが、ユニバーサルマナー検定という資格を積極的に取得しましょうという呼びかけです。「ユニバーサルマナー」とは、高齢者や障がいのある方、ベビーカー利用者や外国人の方といった自分とは異なる誰かの視点に立った心遣いのことを指します。その「ユニバーサルマナー」に必要なマインドやアクションを体系的に身につけるための検定を、銀座の多くの商店主、店舗スタッフ、また企業の方々に取得してもらうことで、銀座をソフトの面から障がい者ファーストな街に、ひいては高齢者やベビーカー利用者、外国の方など誰もが安心して銀ぶらを楽しめる街にしていきたいと考えています。
- 高桑
- 2020年に向けて街を上げてそういう取り組みをしてくださるのはありがたいし、実際にどうなっているのか楽しみでもありますね。その検定の取得は、任意ですか?
- 遠藤
- そうですね。銀座には自主性を尊重する文化が根づいているので、「強制」というのは似合いません。それでもすでに多くの商店主や企業の方々にご賛同いただき、資格の取得される方は着実に増えています。
選手たちがジャージ姿で訪れても驚かないでほしい。
銀座は選手村の予定地から歩いて行ける、買い物や食事を楽しめる繁華街です。2020年には選手たちもたくさん銀座へ遊びに来ますよね。
- 高桑
- そうですね、オリンピックやパラリンピックのような世界規模の競技大会が開催される際には、選手たちにとってはオフの時に食事や買い物をするのにどこへ遊びに行けるのか、というのは実は切実な問題なんです。
- 遠藤
- その点でぜひお聞きしたかったのが、選手のみなさんは銀座の街に来られる時に、どんなものをお求めになるか、ということです。
- 高桑
- そうですね、おそらく選手たちは自国の国名が入ったジャージを着て街に繰り出すと思うので、そんな選手の姿を見かけても驚かないで対応していただくことでしょうか(笑)。私も海外遠征で街を歩いている時、挨拶をされたり声をかけられたりするとうれしいので、ジャージ姿の選手を見かけたら気軽に声をかけていただきたいですね。
- 遠藤
- 選手のみなさんはそういう時、ジャージで出歩くものですか。
- 高桑
- 国によるとは思いますが、選手たちは国を代表して競技大会に参加しているわけなので、その意識をしっかり持ってもらうために外出時は国名入りのジャージを着ていきなさい、と言われていることもあるようです。
- 遠藤
- 選手は国名入りのジャージを着て選手村から銀座へ遊びに来ることを銀座の人たちに周知しておかないといけませんね。
- 高桑
- 逆に日本人だと「銀座をジャージで?」という違和感を覚えるかもしれないですけどね。
- 遠藤
- それならたとえば、「国名入りのジャージ姿で来店したら特別なサービスがあります」みたいな企画をしてしまった方がいいかもしれませんね。「ゆかたで銀ぶら」というイベントは毎年夏に行っていて、当日はゆかた姿の方で銀座通りがとても華やかになります。オリンピック、パラリンピック期間中、各国の色とりどりのジャージ姿の選手や関係者が銀座通りでピンの交換をしたり、交流を深める姿があちこちで見られるように、街として色々な企画を準備したいと思います。
- 高桑
- それはいいかもしれませんね。それとオリンピックが終わってパラリンピックが開始された後には車椅子に乗った選手も訪れたりすると思うので、そういう姿を見かけるようになったら「ああ、始まったんだな」と盛り上げていただけるとうれしいですね。
- 遠藤
- 2020年に向けて、私たちも全力で応援します。ぜひがんばって下さい!
- 高桑
- ありがとうございます!