CSR・CSV

ユニクロ銀座店

Ginza×CSR・CSV Vol.31 ユニクロ銀座店

CSV(共通価値の創造)で世界に挑む ユニクロ 銀座店

2018.11.01

「銀座×CSR・CSV」第31回で紹介させていただくのは、2012年3月にグローバル旗艦店としてオープンしたユニクロ銀座店です。世界一の品揃えとグローバルに展開するユニクロの最先端の情報発信拠点でもある同店。その魅力や、ユニクロの事業を通じた社会貢献、そして銀座への想いについて、サービスマネージャーの中野加奈さんに伺いました。

ダイバーシティ豊かなブランド発信拠点

  • ─ ユニクロ銀座店は、12階建てフロアすべてがユニクロで、他にはない特別な存在感を持つ空間です。銀座店の特長について教えていただけますか。
  • ユニクロ銀座店は、2012年3月に当時世界最大のグローバル旗艦店としてオープンしました。グローバルに出店を進める上でのブランディングの観点からも、訪れるだけで、わくわくした気持ちになれるようなお店にしたいと、売り場面積、装飾、商品のバリエーションすべてにおいて最新、最旬のユニクロを体験していただける店づくりをしています。

    12階のフロアでは、コラボレーション企画の全ラインナップを販売したり、最新のスタイリングやコーディネートを提案したり、銀座店でしか味わうことのできないスペシャルな体験を提供しております。

    11階はUT(ユニクロのTシャツブランド)専門フロアになっていて、7階のキッズ&ベビーフロアには授乳やおむつ交換ができるベビールームも設置しています。世界から多くのお客様が、ユニクロの総本山的な位置付けとして銀座店をとらえ、足を運んでくださっています。

通りに面したウィンドウにはマネキンがずらりと並ぶ

  • ─ 店舗で働くスタッフの方々も多国籍で驚きました。
  • 銀座店では、現在20カ国以上の国籍のスタッフが働いています。私自身、これまで出会ったことのないような国の方とのつながりが生まれました。

    オープン当初は多言語対応から始めましたが、最近では自国にユニクロがある海外からの留学生が「日本でアルバイトをするなら、ユニクロ銀座店で語学力を生かして働きたい」と志望してくれることが多くなりました。

    こういったスタッフは、日本語と英語に加え、それぞれの母国語でも商品の特徴を詳しく説明できますから、世界からいらしたお客様にも安心して買い物を楽しんでいただいています。
  • ─ ファーストリテイリングでは、ダイバーシティをとても大切にされているそうですね。
  • ユニクロでは、国籍や世代、性別を問わず、全ての人のために服をつくる”Made for All”という考えがあります。サービスについても、いろいろな人が持っているそれぞれのノウハウが生かされることがホスピタビリティにもつながるという考えから、ダイバーシティをとても重要だと考えています。

    事情があって母国で暮らすことができない難民の方々や、障がいを持った方々もたくさん働いています。一緒に働くことで、日本人の常識や健常者の当たり前が、実は当たり前ではなかったということに気付きます。そのことが日常のコミュニケーションのあり方を見直すきっかけにもなりますし、気配りのできる、広い視野を身に付けることにもつながっています。

「服のチカラを、社会のチカラに。」

  • ─ 店舗の各所で、サステナビリティへの取り組みを紹介されていますね。
  • ユニクロはサステナビリティを、未来をつくるために必要な企業の取り組み課題としてとらえ、業務の推進という観点から取り組んでいます。

    1つ目はサプライチェーン。ユニクロのために服を作ってくださる方が働きやすい環境を作ることに取り組んでいます。2つ目は商品。ユニクロは、すべての方々の日常がよりよくなるように、という考えから”LifeWear”というコンセプトを提唱しています。世界中のあらゆる方々の生活を豊かに、かつ快適にする服をつくること、そして、環境にも人権にも配慮した服づくりを大切にしています。

    3つ目は店舗とコミュニティー。ユニクロは世界で約2000店舗を展開していますが、それぞれの店舗が、その土地のユニクロが地域においてどういう存在であるべきかを考え、地域で良いことを積み重ねていく。それがグローバルにもつながることで大きなインパクトをもたらすことができると考えています。4つ目が従業員。よりよく楽しく仕事ができるように、労働環境を整え、キャリアの選択肢を用意することなどを大切にしています。

取り組みやメッセージを店内で紹介している

  • ─ アパレル産業は、環境負荷の大きい産業とも言われていますが、服とサステナビリティをつなぐ具体的な取り組みについて紹介していただけますか。
  • ユニクロは素材の選定から商品づくり、服の回収に至るまで、服づくり全般を通じて、サステナビリティに取り組んでいます。

    アパレル産業は、ほとんどの工程が人の手によって行われていると言ってもいいくらい、とてもアナログな産業です。ですから、働く人にも大きな負荷がかかります。この負荷を減らし、環境に配慮していくうえでも、サステナビリティを実現するテクノロジーの開発がとても重要だと考えています。

    2016年秋には、ロサンゼルスに最先端のジーンズを研究開発するジーンズイノベーションセンターを開設しました。加工段階での水使用量を大幅に減らしたジーンズを開発中です。

サステナブルなコットンの生産を目指す「ベター・コットン・イニシアティブ」に加盟。
2025年末までに100%サステナブルなコットン調達を目指している

ヒット商品「ヒートテック」は、室内着でもあたたかく過ごせることで、
寒い日にも暖房の設定温度を控えめにできる、
人にも環境にもやさしいエコ・スタイルの提案でもある

ヒートテックを着ることによる、環境への効果

  • ─ 店舗にリサイクル回収箱を設置し、服の回収も行われていますね。
  • ユニクロは「服のチカラを、社会のチカラに。」をコンセプトに、服のビジネスを通じて世界をより良い方向に変えていきたいと考えています。

    「全商品リサイクル活動」では、ユニクロで購入いただいた服をお持ちいただくことで、世界中の難民の方など服が手に入りにくい状況にある方々に届けています。ユニクロ銀座店に置いてある回収箱にも、毎日一杯になるほどの服が集まるのですよ。グローバルでは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とグローバルパートナーシップを結んで、全世界のユニクロで回収された服を、ニーズに応じて各地の難民の方々に届けています。

リサイクルBOX

地域とのつながりを起点に

  • ─ ユニクロは、地域・コミュニティーとのつながりを大切にされていらっしゃるとのことですが、銀座ではどのようなつながりがありますか。
  • 多くのお客様が、ユニクロの銀座店をユニクロの総本山ととらえていらっしゃいますので、接客面も含めて、とても高い期待を持たれていると感じています。ですから、その期待に答える努力が必要ですし、地域を守ってくださっている商店街のみなさまとの関係がとても大切だと感じています。

    商店街などの活動を通じて、地域を古くから守ってこられた方々と一緒に、ユニクロ自身も地域の中に入っていきたいです。銀座で働く方のリアルな生活をお伝えするために、ユニクロの販促物にご出演いただいたこともありました。
  • ─ これからの銀座に、どのような想いをお持ちですか。
  • 地域に馴染み、地域の方々の手助けになるという観点からは、やっとスタート地点に立ったくらいだなと感じています。これからは地域のお客様に愛され、役に立てる店であり、従業員でありたいと考えています。 銀座店で働くスタッフも、銀座という土地で働くことの誇りを持っています。地域をもっとよく知り、少しでも地域に貢献できるような存在になりたいです。
ユニクロ銀座店 サービスマネージャー

中野 加奈

2002年入社。鳥取県、愛知県、東京都、千葉県と全国各地の店舗で勤務し、5店舗の店長を勤めた後、2013年より、東京本部CS推進チームでスタッフ教育を担当。2016年2月より現職。
ライター

今井麻希子

株式会社オルタナ 外資系IT企業等に勤務の後、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約締約国会議(COP10)にNGOの立場で参加したことを契機に、環境やソーシャルの分野に仕事の軸をシフト。生物多様性やダイバーシティをテーマに、インタビューや編集・執筆、教育プログラムの開発や対話型カウンセリング・セッションを手がける。

取材・文:今井麻希子 / 企画・編集:株式会社オルタナ

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