GINZA CONNECTIVE (高嶋ちさ子対談シリーズ)

渡仲 晋平×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.69

渡仲 晋平×高嶋 ちさ子

2017.08.01

バイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんがゲストの方に、銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、老舗洋食レストラン「銀座みかわや」の専務取締役 渡仲晋平さんです。

住所は三越にあるものの、三越のフロアガイドには載っていない

高嶋さん
「銀座みかわや」さんは現在、銀座三越新館の1階にあります。三越が新しくなったタイミングで、場所も少し移動されたんですか?
渡仲さん
いえ、していません。場所自体はまったく同じなんです。
高嶋さん
まったく同じ?
渡仲さん
そうなんです。建て替えたことで、お店の雰囲気も若干変わりましたから、移られたと思っている方も多いのですが、実は同じ場所にあります。
高嶋さん
ちなみにこのお店は、三越のビルの一部になるんですか?
渡仲さん
たしかに住所的には三越さんの中にあるのですが、地主さんが違うので、三越さんのテナントではないんです。
高嶋さん
そうなんですか。面白いですね。
渡仲さん
はい。ですから、店内から三越さんにつながるドアもありません。
高嶋さん
ということは、三越のフロアガイドを見ても、「銀座みかわや」さんは載っていない?
渡仲さん
はい、そうです。
高嶋さん
面白い関係ですね。
渡仲さん
以前の建物は昭和23年、終戦から3年後に現在の場所に建てられたものでした。そこでお店をスタートしたんです。ときが流れ、隣が三越さんの駐車場だったご縁もあり、今回「一緒に開発をしましょう」ということで、「銀座みかわや」もリニューアルオープンすることになりました。
高嶋さん
なるほど。リニューアルする際に、前のお店の内装は意識されましたか?
渡仲さん
雰囲気は似せました。他にも、いま座っていただいている椅子も昔から使用しているもので、かれこれ40年ぐらい使っているんですよ。
高嶋さん
40年ですか……。いまでもすごいキレイですね。
渡仲さん
メンテナンスのおかげですね。革を張り替えたりもしていますから。
高嶋さん
他にも店内は、アンティークのものが多くありそうですね。
渡仲さん
はい。それを見にいらっしゃるお客様もいるほどです。
高嶋さん
そうしたアンティーク家具を使い続けているから、リニューアルしてもどこか昔の雰囲気を感じることができるんでしょうね。
渡仲さん
そうだと思います。

新本店内観

新本店内観

旧本店内観

旧本店内観

創業当時からほぼメニューは変わっていない

高嶋さん
昭和にスタートしたということですけども、現在「銀座みかわや」さんは創業何年になるんですか?
渡仲さん
“洋食店として”は、今年で69年目になります。
高嶋さん
その前から「みかわや」さん自体はあったということですか?
渡仲さん
はい。食料品店として明治20年頃から営業していました。それも含めると、130年近い歴史があります。
高嶋さん
銀座で100年以上……。
渡仲さん
そうです。ちなみに、「みかわや」を創業した祖父に、話を持ち掛けた地主さんがいるんですが、現在もその血縁の方から土地をお借りして営業しているんですよ。
高嶋さん
へえ。ずいぶん長いお付き合いをされているんですね。
渡仲さん
はい。祖父は横浜の生まれで、横浜にある「ホテルニューグランド」で料理の勉強をしていたんです。当時、祖父と共に洋食を学んだ人たちが、日本に洋食を広めた草分け的な人たちです。
高嶋さん
そこからホテルに残る人もいれば、外に出た人もいたわけですか?
渡仲さん
そうです。祖父は外に出たタイプですね。
高嶋さん
メニューは当時と比べると変わっているんですか?
渡仲さん
これが実は、ほとんど変わっていないんです。現在の料理長は30年以上勤務しているんですが、彼がある日、昔の古いメニューを見せてくれたんです。すると、多少メニューの増減はあるものの、ほとんど同じだったんです。これには私も驚きました。
高嶋さん
すごいですね。その中でも、お客様にいちばん人気があるメニューというのは?
渡仲さん
カニのコロッケですね。ただ、常連の方になると、それぞれのお客様の“いちばん”があるんですね。我々もその辺りはもちろん把握していますから、常連のお客様がいらっしゃったら、“いつものメニュー”を準備し始めるわけです。なのに、ときたま違うメニューを頼まれたりすると、調理場はもう、大慌てですよ(笑)。
高嶋さん
あははは。そうなりますよね(笑)。

カニのコロッケ

カニのコロッケ

All List