本橋修一×高嶋ちさ子

2017.07.03

バイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんがゲストの方に、銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、「世界名作劇場シリーズ」や「ちびまる子ちゃん」など、数々の名作アニメを生み出してきた『日本アニメーション株式会社』のライセンス事業部本橋修一さんです。

40年前の作品「あらいぐまラスカル」が“今”大人気

本橋さん: 「あらいぐまラスカル」も今、人気があるんです。
高嶋さん: 今？どうしてですか？
本橋さん: 同作はテレビ放送から40年経つ作品なんですけど、LINEが出たときに、「オリジナルスタンプを作ろう」という話になりまして。そのときに「ラスカルでやってはどうか」ということになったんです。
高嶋さん: なるほど。
本橋さん: ただ、LINEスタンプには感情表現が必要なんですけど、「あらいぐまラスカル」のアニメの設定では、“表情はない”ということになっていたんです。
高嶋さん: それはなかなか大変ですね。
本橋さん: はい。だからLINEスタンプとして機能させるために、「デフォルメしよう」ということになったんです。
高嶋さん: おぉ、大胆にいきますね！
本橋さん: キャラクターも二頭身にして、表情も豊かな新たな“ラスカル”を作り上げました。
高嶋さん: そうなんですね。
本橋さん: 現在スタンプは第13弾まであるんですけど、新作を出すたびに、常に1位を獲得するほど人気なんですよ。
高嶋さん: 私もそのスタンプ買っています！好きなんです、ラスカル。
本橋さん: ありがとうございます。購入している方はアニメを知っている30〜40代の方だけではなく、アニメを知らない10代、20代の方も多く買われているんです。
高嶋さん: へえ、何が起きるかわからないものですね。
本橋さん: はい、それは予想外でした。

「あらいぐまラスカル」　© N.A.

人の魅力が銀座ブランドを支えている

高嶋さん: 銀座にオフィスがあるのは、なぜなんですか？
本橋さん: 本社は多摩にありますし、本当なら銀座にオフィスがある必要はないんです。
高嶋さん: でも、あるわけですよね？
本橋さん: はい。その理由を父に聞いてみたところ、「祖父はナンバーワンが好きな人だった」そうなんです。
高嶋さん: つまり、銀座もナンバーワンだからそこに事務所を構えている？
本橋さん: みたいです（笑）。
高嶋さん: ハイカラな発想をする方だったんですね。
本橋さん: ええ。でもそのおかげで、銀座の人たちとつながり、新しい商品も生まれました。
高嶋さん: 新しいもの？
本橋さん: たとえば銀座のガイドブックもそうです。これは海外の方向けに作成したものなんですが、「ちびまる子ちゃん」のキャラクターが日本を観光するときのマナーやルールを教えてくれるものです。
高嶋さん: （ガイドブックの中を見ながら）かわいい！キャラクターの言葉として伝えることで、よりメッセージも届きやすくなりそうですね。
本橋さん: はい、そうなんです。「ちびまる子ちゃん」の登場人物は、みんな性格がはっきりしているので、誰かが変なことをして、それを注意するという形で表現することにしました。
高嶋さん: なるほどねー。
本橋さん: それと実は……。
高嶋さん: 実は？
本橋さん: まるちゃんたち、銀座に来ている設定なので、普段よりおしゃれしているんですよ。
高嶋さん: あ、ほんとだ！（笑）。
本橋さん: このガイドブックのためだけに、書き下ろしているんです。
高嶋さん: 豪華ですね。
本橋さん: 他にも、「松崎煎餅」さんとコラボしてちびまる子ちゃんの三味胴を作ったり、和食器専門店の「銀座夏野」さんとコラボしてラスカルのお箸を作ったりしています。
高嶋さん: わー、本当だ。これもかわいいですね。
本橋さん: これも銀座にオフィスがあったからこそ、実現したことだと思います。
高嶋さん: なるほど。ちなみに、本橋さんが感じる銀座の魅力って、何ですか？
本橋さん: “人”だと思います。それは現在、銀座の若手経営者たちが多く参加している「銀実会」を通して知り合った方たちを見ていても、強く感じます。みなさん、すごく魅力的な方ばかりなんですよね。そんなキラキラした人たちが働いているから、銀座の街もまた美しいのだと思います。