吉澤 直樹×吉澤 裕介×高嶋 ちさ子

銘柄牛がすべてではない。おいしい牛肉のポイントとは？

高嶋さん

日本の和牛は、世界的にも人気ですよね。

直樹さん

ええ。僕も世界中のいろんな牛肉を食べましたが、同じものは海外では作れないでしょう。

裕介さん

日本人みたいに、手塩にかけて牛を育てることはなかなかできないと思いますね。

高嶋さん

おいしい牛肉のポイントって何ですか？

直樹さん

脂ですね。脂の甘みが肉のおいしさなんです。さらには雌牛の脂がいいんです。雌牛の脂は去勢牛や雄牛とは違い、融点（脂の溶ける温度）が低くて、人肌でも溶け出すほどなんですよ。だから、食べたときにしつこさがなく、胃にもたれない。たまに「サシがたっぷりでいい肉だったから2~3枚で胃もたれした」なんて言っている人がいますが、それは「いい肉」ではないですね。

高嶋さん

なるほど～。ではあまり銘柄牛かどうかは重要ではない？

直樹さん

個体差があるのでブランド牛だったら絶対においしいというわけではないんですよ。人間も一緒ですよね。同じ親から生まれてきても、うちの兄弟みたいに全然違いますから（笑）。でもどちらが優れているということではなく、それぞれに個性があって能力を生かす場所が違うからいいんです。牛肉もＡ5ランクだから、ブランド牛だからという理由ではなく、鉄板で食べるステーキだからこのくらいの霜降りがいい、しゃぶしゃぶだったらこの部位がいいなど、肉質に合わせた調理法を見極めるのがベストなんです。

裕介さん

肉も適材適所、適した調理法があり、それらがかみ合ってこそ肉の持ち味を最大に生かせるんですよ。

高嶋さん

おっしゃっていること、すごくよくわかります！　私は牛肉が大好きなので、おいしいお肉をお取り寄せしているんですけど、毎回お店の方におすすめの調理法を伺っているんです。同じ部位でも今回のはビフカツがいいとか。いろいろと教わっているうちに、私もだんだん目が肥えてきて、肉質をみてどの調理法がいいかわかるようになってきたんです。

直樹さん

霜降り肉だから、銘柄牛だからいいというのではなく、いろんな食べさせ方の提案があるということ知って、たくさんの方にもっと牛肉を食べていただけたらいいですね。

高嶋さん

私なんて、牛肉しか食べてないですよ。病院に行くと、野菜を食べてくださいって言われるんですが、野菜を食べていなくても数値的には問題ないんです。持論としては、牛が野菜を食べているから大丈夫ってことにしているんですけどね。

直樹さん・裕介さん

そうなんですか（爆笑）！？

直樹さん

僕は一応青汁を飲んでますよ（笑）。

高嶋さん

私なんて、牛肉と菓子パンしか食べませんよ（笑）。牛肉ってパワーもらえますよね。

裕介さん

うちのお客様でも、ご年配の方もよく牛肉をお召し上がりになられていますが、若々しい方が多いです。

直樹さん

でも実際、日本人は牛肉を食べるようになって長生きになりましたからね。牛肉の脂は、ホルモンバランスを整えたり、発がん性物質を抑制する働きがある不飽和脂肪酸の含有量が高いんですよ。

高嶋さん

では引き続き、牛肉しか食べない人生を歩むことにします（笑）。

本物だけが集まる銀座で、これからも誠心誠意商売を行っていきたい

高嶋さん

では、銀座の街に対する想いをお聞かせください。

裕介さん

銀座って外から見るとほかの地域にはない、いい面がいっぱいあって素晴らしい街ですね。

直樹さん

最先端のハイブランドのお店もあれば、1本裏道に入ればうちのように精肉店があったり、和装屋さんがあったり、意外とそんな街はないんですよね。業種関係なく先輩方をはじめとする人とのつながりも濃いですし。

高嶋さん

ハイカラな商店街ですよね。

直樹さん

僕は、銀実会60期の理事長を務めていたんですが、先輩方からたくさんのことを教えていただきました。銀座の街についてある方が「たくさんの輝いている星が集まって、月よりも大きな集合体になる。小さな星も集まると銀の川のように光り輝く」とおっしゃっていたんですが、まさにその通りだと思います。そのために我々のような個店が、誠心誠意商売をして頑張っていくことが重要なのかなと思いますね。

裕介さん

銀座はなんでも受け入れてくれるけど、本物しか生き残れないんです。だから真面目に商売に取り組んでいる人にとっては、かなり魅力的だと思いますね。