GINZA CONNECTIVE (高嶋ちさ子対談シリーズ)

南條 勲夫×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.56

南條 勲夫×高嶋 ちさ子

2016.07.01

バイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんがゲストの方に、銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは著名人も足繁く通う日本料理店、「銀座三亀」の三代目店主、南條勲夫さんです。

絵画や音楽に触れて心を豊かに

高嶋さん
何かご趣味はありますか?
南條さん
クラシックを聴いたり、絵画を観賞するのは好きですね。私はね、展覧会に行くと、この絵に合うBGMって何かなってよく考えるんですけど、銀座のBGMって何だろうと思ったの。『ディベルティメント』が合うと思ったんですけど、どうですか?
高嶋さん
モーツァルトのですか? 躍動的なイメージですよね。私のイメージだと、銀座の街って最先端でありながらも老舗と混在しているという意味で、ガーシュウィンもいいなと思うんですけど。
南條さん
なるほど〜、面白いですね。
高嶋さん
何か楽器はされていますか?
南條さん
いえいえ、私は聴く専門ですよ。
高嶋さん
それが一番いいですよね〜(笑)
南條さん
私はね、カラダに必要なものが二つあると思っています。ひとつは肉体を養うもの、もうひとつは心を養うもの。両方バランスよく取らないと栄養失調になりますよ。
高嶋さん
私なんて、完全に栄養失調ですよ(笑)!
南條さん
私はお金はないですけど、心は豊かですよ(笑)。
高嶋さん
素晴らしいですね。でも日本料理って、芸術品に近いと思います。季節を演出していて美しいですよね。やはり、絵画などをご覧になることで、ヒントを得られるんですか?
南條さん
そうですね、刺激になりますよね。絵画を観ると、額の中だけじゃなくて、そこに描かれていないもの、見えないものを想像するのが楽しいんです。たとえば、額の外には花畑が広がっているんじゃないかとか。
高嶋さん
そんなこと考えたこともなかったです! 私なんか、ロクなもんじゃないから、金額しか見ないですよ(笑)。

本当の意味で美しい銀座を目指したい

高嶋さん
では最後に、銀座に対する想いを教えてください。
南條さん
うちは路面店なので、毎朝店の前に水をまき、箒で掃いて掃除していると、道路に雑巾がけしたくなるくらいの愛着ができるんです。銀座で働く人々はみなさん、そのくらいの気持ちで持って街に愛情を持ってほしいですね。銀座5丁目の『壱番館』の渡辺新さんは、5丁目全体を掃いていますよ。
高嶋さん
へえ〜。
南條さん
それは土地に愛着があるからこそできるんですよね。私は清掃されている方を見かけると必ず、「ありがとうございます」、「お世話様です」と声をかけます。見てくれている人がいるって、すごく張り合いが出るんですよ。銀座は確かにキレイな街です。でも、美しいとは思わない。田舎の方の店に行くとね、店先に自分たちで植えた花が咲いていたりするんです。金儲けするためにキレイにしているんじゃない。土地に愛情を持って接しているからこそできることであって、そういうものに触れた時に美しいと感じるんです。銀座もそんな美しさを目指したいですね。

高嶋 ちさ子

ヴァイオリニスト。6歳からヴァイオリンを始め、海外で活躍後、日本に本拠地を移し、全国各地でコンサートを行っている。現在は、演奏活動を中心としながらも、テレビやラジオ番組の出演などでそのキャラクターが評価され、活動の場はさらに広がりを見せている。

高嶋ちさ子オフィシャルウェブサイト

南條 勲夫

「銀座三亀」店主。関西割烹出井で修業後、1955年より現店舗で研鑽を重ねる。旬の素材を使った料理、気どらない人柄ときめ細やかな心配りで、訪れる人を魅了し続ける。

取材・文:岡井美絹子 取材場所:銀座三亀

MUSE〜12 Precious Harmony〜

高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト ニューアルバム「MUSE〜12 Precious Harmony〜」リリース

高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト名義で約4年ぶりのアルバム「MUSE〜12 Precious Harmony〜」がリリース。
今作品は結成10周年を記念して12人のヴァイオリニストをメインに、クラシックの名曲を始めとして彩りあふれたアルバムになっています。
オリジナル曲は3曲含まれており、「SPLASH!!!」はスキマスイッチによる作曲・共演と今までにはない楽曲など全12曲収録。

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