辻典之×高嶋ちさ子

2016.05.09

バイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんがゲストの方に、銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、洋食器の輸入・販売を行う「ノーブルトレーダース株式会社」の取締役、辻典之さんです。

洋食器から和食器まで。職人の丁寧なものづくりの現場で感動

高嶋さん: 辻さんが特に好きなブランドはどれですか？
辻さん: うーん、オーストリアの磁器メーカー「アウガルテン」でしょうか。ヨーロッパで2番目に古い窯で、来年には300周年を迎えます。2013年から当社が日本総代理店として輸入販売させていただいているんですよ。もともとハプスブルグ家に守られて発展してきた窯元で、日本の皇室にもファンの方々がいることでも知られています。工房はウィーン少年合唱団の宿舎がある、アウガルテン宮殿の敷地内にあるんですよ。
高嶋さん: 辻さんは、その工房にも足を運ばれているんですね。
辻さん: はい。職人さんはわずか30人弱、絵付け職人は10人しかいません。大量生産は一切せずに少人数で昔からの技術を継承しているため、今も世界中にファンがいます。工房に行き、目の前で丁寧なものづくりの現場を見ると、感動して鳥肌が立ちます。一消費者として使っても、やはりいい。良いものは、やはり良いということですね。
高嶋さん: 惚れ惚れするのがわかります。本当に素敵ですね。
辻さん: あとは、今「日本再発見」というコンセプトでメイドインジャパンのアイテムのも増やしています。もともとは江戸切子や輪島塗、有田焼など、日本の伝統工芸品を取扱いさせていただいていたのですが、最近は数を増やして50社ほどとお取引させていただいています。江戸硝子の田島硝子さんの「富士山グラス」は、国土交通省観光庁後援おみやげグランプリ2015でグランプリ・観光庁長官賞を受賞したアイテムで、現在1か月待ちの人気となっているんです。
高嶋さん: そんなに！　でも、よく見ると溝とか火口とかまで再現されていてすごいですね。職人さんたちの技術って素晴らしいですね。

アウガルテン「ビーダーマイヤー」

富士山グラス

世界が憧れる街・銀座で地域に根差した存在になりたい

高嶋さん: 移り変わりの激しい時代の中で、銀座はどのようにあってほしいと思いますか？　最後に銀座に対する想いを教えてください。
辻さん: 老舗企業さんが集まる由緒ある銀座で、当社はまだまだ新参者。地域に根差さないと商売はやっていけないと思っています。まずは、お客様はもちろんのこと、ここで商売をしている一人でも多くの方に知っていただけるお店になりたいです。ゆくゆくは「銀座に行ったらルノーブルに寄って行こうか」と言われるようになりたいですね。
高嶋さん: お父様も銀座に憧れていたっておっしゃってましたもんね。
辻さん: ええ。世界中にも銀座に憧れている人は多いのだと思います。海外の取引先の方に銀座にお店を出したと言うと「Oh! Ginza!」と言われるんですよ。それぐらい世界に知られている街なんだと実感しています。それが何より誇らしいですね。
高嶋さん: 世界からも注目されているんですね。
辻さん: そうだと思います。銀座では、数年ではなく、30年、40年、100年と続いて行かないと、よくやったねと認めてもらえないと思っています。銀座が世界に憧れられる街であり続けてくれたら、私たち商売している人間もがんばれます。銀座には、そんな魅力を持ち続けてもらいたいですね。
高嶋さん: これからのルノーブルさんが楽しみです！　ありがとうございました。

高嶋ちさ子

ヴァイオリニスト。6歳からヴァイオリンを始め、海外で活躍後、日本に本拠地を移し、全国各地でコンサートを行っている。現在は、演奏活動を中心としながらも、テレビやラジオ番組の出演などでそのキャラクターが評価され、活動の場はさらに広がりを見せている。

高嶋ちさ子オフィシャルウェブサイト

辻典之

ノーブルトレーダース株式会社取締役。大学卒業後、カタログ通販会社に入社。退社後イギリス留学を経て2010年にノーブルトレーダース(株)に入社。年に3～4回海外へ買い付けに行っている。世界各国の小さな工房を巡ったり、町中でおもしろいキャッチコピーを見つけながら街歩きするのが趣味。

取材・文：高橋瑞穂　取材場所：ル・ノーブル銀座店

高嶋ちさ子　ニューアルバム「Strings on Fire」　絶賛発売中！

高嶋ちさ子待望のニューアルバム「Strings on Fire」がリリース！今作は次男（6歳）のチェロと共演した「いつか二人で」を含め3曲オリジナル作品を収録。それ以外にもクラシックのスタンダードナンバーなど珠玉の全12曲収録。大人気漫画「NARUTO -ナルト-」の作者・岸本斉史氏による描き下ろしスペシャル・ジャケットが封入。 20th Anniversaryを迎えた、色物ではない“本物”のヴァイオリニスト高嶋ちさ子の新境地とも言える移籍2ndアルバム堂々完成。

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