GINZA CONNECTIVE (高嶋ちさ子対談シリーズ)

山根 淳司×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.40

山根 淳司×高嶋 ちさ子

2015.02.13

ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんに、ゲストの方をお迎えして銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、昭和10年から続く、ふぐ料理の料亭「やま祢」の代表取締役社長、山根淳司さんです。

昭和10年創業のふぐ料理の老舗。伝統の2段引きで刺身を調理

高嶋さん
ご主人は何代目ですか?
山根さん
私は次男ですが、跡を継ぎましたので4代目です。
高嶋さん
お店の場所は、ずっと銀座ですか?
山根さん
いえ、最初は福岡からはじまりました。創業は昭和10年。その後、昭和29年に銀座へ参りました。初代の頃にはすでに銀座でお店を始めていました。
高嶋さん
ふぐの唐揚げはこちらで始めたとか?
山根さん
はい。やま祢の唐揚げは、大女将と女将が考えました。お刺身を多く出すので、アラがどうしても余ってしまうということで、もともとは職人たちが賄いで食べていたんです。そうしたら、美味しいということになり、メニューとして出すようになったと聞いています。
高嶋さん
そうなんですね。実は私、脂っぽい料理が大好きなんです! ふぐは淡白なので、コースの途中で唐揚げが出てくるとすごく嬉しいんですよ。
山根さん
おかげさまで、お客様にも喜んでいただいています。
高嶋さん
お刺身は見た目がすごく綺麗ですよね。長嶋茂雄さんが、お箸でざざっと取って食べたエピソードでふぐの知名度が上がりましたよね。
山根さん
うちは、二段引きという独特の切り方で出すので、1枚の厚みが通常の2倍あるんです。だから、それだと噛み切れないかもしれないですよ。1回切ったものの間にもう一度包丁を入れ、そこにネギを撒いてお出しします。

難易度が高い東京の「ふぐ調理師免許」。毒の調理で手が荒れることも

高嶋さん
ふぐ料理は私もコンサートで下関の方へ行くといただきます。でも高級品なので、なかなか食べる機会はないですけど…。
山根さん
今、東京で仕入れるふぐは高級すぎて、そういうイメージがありますが、江戸時代からふぐは庶民の味として食べられてきたんですよ。
高嶋さん
そうなんですか!
山根さん
毒が研究される前は、魚釣りで釣ったふぐも食べていたので。今は法律ができているので、免許がある人しか調理できませんが。
高嶋さん
調理の免許を取るのは大変なんですか?
山根さん
自治体によって試験が違うんですが、東京は厳しいですね。そのため、東京の免許はどこへ行っても通用するんです。地方で免許を持っている人が東京でお店を出す場合は、取り直しが必要なんですよ。
高嶋さん
へー。知らなかったです。毒は1匹あたりどのくらいあるんですか?
山根さん
卵巣と肝臓、腎臓など内臓系はすべて毒です。種類によっても毒の部分が違いますが、4~5割は毒として処理しますね。食べられる部分が少ないんですよ。
高嶋さん
毒を食べると死んじゃう?
山根さん
昔は少しの毒の刺激を楽しもうとした人々もいるようですが、東京では法的にも絶対にダメですね。下手すると呼吸困難で亡くなる場合もあります。
高嶋さん
わー、それなのに食べようとするなんて! 「これ食べたんだぜ」とか自慢したかったりするんでしょうか。
山根さん
人間って欲張りなんでしょうね。でも、僕はもちろん食べたことはないです。ただ、毒の部分を毎日触っているため、手が荒れるんです。やっぱり刺激が強いんでしょうね。

やま祢では最高級の虎ふぐが使用される

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