伊藤明×高嶋ちさ子

2015.12.15

バイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんがゲストの方に、銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、明治時代から続く文房具専門店「銀座・伊東屋」の代表取締役社長、伊藤明さんです。

野菜工場とレストランを併設。ビル内で地消地産を

高嶋さん: 野菜工場があるんですか！？
伊藤さん: 11階の「FARM（ファーム）」と名付けられたフロアでは、水耕栽培でフリルレタスを育成しており、12階のレストランでお召し上がりいただけます。野菜が成長する様子は、ステンレスビルと呼ばれた旧本店の窓枠を使ったウィンドウ越しにご覧いただけます。実際に見に行きましょうか。
高嶋さん: あ、本当だ！　前のビルの窓枠ですね。
伊藤さん: 古いものも残しておくべきだと、「東京画廊」の山本さんに言われたんです。ちなみにこの野菜工場との出合いは、高校生のとき。私はアメリカの高校に留学していたんですが、フロリダにあるディズニーワールドには、なんと野菜工場がありました。そのときから自分も、いつか野菜工場をやりたいと思っていました。
高嶋さん: 知りませんでした。アトラクションの横で野菜が育てられているなんて、想像もできないですね。
伊藤さん: ちなみに、今高嶋さんにお飲みいただいているのは、１階のドリンクバーで提供しているいちごのレモネードなんですが、ここで作ったいちごのピューレを使っているんですよ。
高嶋さん: これすごくおいしいです！　高級な味がしますね～。高級フルーツ店で出されるジュースにも負けない味かも。文房具店ということを忘れそうです。
伊藤さん: でも基本的には、文房具を売るという姿勢は変わっていません。ただ、従来の「何でもそろう」「新しい商品が豊富」という方向性ではなく、「伊東屋が自信を持っておすすめできる商品」を提供しています。今やどこでも文房具が買えるようになりましたから、差別化をはかっていきたいですね。
高嶋さん: 今はネットで何でも買える時代になりましたからね。でも、私はやはり、伊東屋さんに行けば必ず一流のものがあるという安心感がうれしいです。

歩きやすい街、オンリーワンの存在でありたい

高嶋さん: これからの銀座はどのようにあってほしいですか？
伊藤さん: 銀座にしかないモノや店があるから、行こうと思える街であってほしいですね。うちはリニューアルしたことで、既存のお客様はもちろん、新しいお客様にも来ていただけるようになりました。今までは、文房具というモノをめがけていらっしゃる人が多かったんですが、新規のお客様はこの場所そのものを楽しみにして訪れて下さるようです。
高嶋さん: 他の街にはない存在ですよね。
伊藤さん: あとは、銀座通りはいつも歩行者天国でもいいのにな、と思うことがあります。まあ、実際そうなると不都合なことも多いからムリな話ではありますが、要は街歩きがしやすい街づくりが大切だと思います。ニューヨーク五番街のように車の往来が激しい大通りがある街だと、歩行者はどうしても反対側の歩道に並ぶ店に行きづらくなってしまいますからね。
高嶋さん: 伊藤さんはよく海外に行かれていると思うのですが、街づくりという点で印象的な国はありますか？
伊藤さん: アメリカでいいなと思ったのが、ビルの１階が店舗で、2階と3階が駐車場、そしてその上が住居になっているんです。自分の行きたいところまで車で行けて、駐車場から直接お店に行きやすい。銀座も人が住めるようになると面白いですね。

高嶋ちさ子

ヴァイオリニスト。6歳からヴァイオリンを始め、海外で活躍後、日本に本拠地を移し、全国各地でコンサートを行っている。現在は、演奏活動を中心としながらも、テレビやラジオ番組の出演などでそのキャラクターが評価され、活動の場はさらに広がりを見せている。

高嶋ちさ子オフィシャルウェブサイト

伊藤明

1964年生まれ。慶應義塾大学卒業後、アメリカで工業デザインを勉強。1992年株式会社伊東屋入社、2005年代表取締役社長に就任。2007年より銀座通連合会常任理事、2009年全銀座会催事委員会委員長に就任。

取材・文：岡井美絹子　取材場所：銀座・伊東屋／10F Hand Shake Lounge

高嶋ちさ子　ニューアルバム「Strings on Fire」　絶賛発売中！

高嶋ちさ子待望のニューアルバム「Strings on Fire」がリリース！
今作は次男（6歳）のチェロと共演した「いつか二人で」を含め3曲オリジナル作品を収録。それ以外にもクラシックのスタンダードナンバーなど珠玉の全12曲収録。
大人気漫画「NARUTO -ナルト-」の作者・岸本斉史氏による描き下ろしスペシャル・ジャケットが封入。
20th Anniversaryを迎えた、色物ではない“本物”のヴァイオリニスト高嶋ちさ子の新境地とも言える移籍2ndアルバム堂々完成。

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