GINZA CONNECTIVE (高嶋ちさ子対談シリーズ)

鈴木 功一×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.27

鈴木 功一×高嶋 ちさ子

2013.12.06

ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんに、ゲストの方をお迎えして銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、銀座を代表する喫茶店「カフェ ド 銀座みゆき館」の代表取締役社長、鈴木功一さんです。

銀座に憧れた先代が脱サラして始めた『Cafe de Ginza miyuki-kan』

高嶋さん
お店は1969年創業ということなので……、私の1コ下ってことになりますね。銀座では比較的若いお店になりますかね?
鈴木さん
そうですね。銀座に出てきてからまだ34年目ですので、諸先輩方に比べると赤ちゃんみたいなものですよ(笑)。
高嶋さん
銀座の前はどちらに?
鈴木さん
大手町にある日本ビルの地下1階にお店を構えておりまして、10年経ってからこちらに来ました。もともと先代が日興証券にいたんですが、並木通りと晴海通りの角にあった銀座支店で支店長をしていたこともあり、銀座の素晴らしさを体感していたようなんですよ。いつかは銀座にお店を出したいという思いがあったみたいですね。
高嶋さん
では、お父様は脱サラってことですか?
鈴木さん
そうです。40歳のときに会社を辞めて事業を興したんです。創業と私の生まれ年が同じなんですよ。
高嶋さん
同い年なんですね。ところで店名の由来は?
鈴木さん
この本店のビルの名前がみゆき館というんですよ。
高嶋さん
今や銀座に6店舗も構えられているとか。
鈴木さん
はい。6店舗それぞれにテーマがあり、立地に合わせてメニューや内装を変えています。すべての店舗で共通する特徴は白壁ということでしょうか。内装をデザインしたのが元々絵描きをしていた人で、お店を1枚の絵に見立てて設計しているんです。白いキャンパスにお客様が入って絵になるというわけなんですよ。だから壁はどのお店も白壁なんですね。そのように店舗の統一感を損なわないように気を付けながら、銀座のクオリティを保ちつつ営業しています。
また、柱などに古材を使用していたりするんですが、山形の方の旧家屋で実際に使われていたものを運んできたりしています。
高嶋さん
へえ~! そういう目で改めて店内を見渡すとより素敵ですね。

カフェド銀座みゆき館 銀座本店

看板メニュー・和栗のモンブランの誕生秘話とこだわりの製法

高嶋さん
『カフェ ド 銀座みゆき館』といえば和栗のモンブランが有名ですが、これは創業当時からあったメニューですか?
鈴木さん
いえ、まだ登場してから9年目ですね。
高嶋さん
では、2代目の鈴木さんが発案されたんですか?
鈴木さん
実はちょっと違うんです。南麻布に『ラ・プレシューズ』(現在南麻布の店舗は閉店)というパティスリーがあったんですが、こちらのオーナーの山川氏が新橋にあったうちのケーキ工場で働いていたことがあったんですよ。独立されてお店を出すということでお祝いに行ったんですが、そのときに先代と私に出して下さったのがこの和栗のモンブランだったんです。それがあまりにも美味しくて、ぜひうちでも提供したいと山川氏にお願いして、直伝の和栗のモンブランを提供できるようになりました。
高嶋さん
そうだったんですねー!
鈴木さん
せっかくなので、どうぞ和栗のモンブランをお召し上がりくださいね。
高嶋さん
私、モンブラン大好きなんですよ~。もう病気なんじゃないかってくらい(笑)。色が和栗ならではの上品な色合いですね。(一口食べて)あ~、美味しい♡ 仕事を忘れちゃいそう(笑)。
鈴木さん
洋菓子屋で和栗を使っているのは、うちが日本一かもしれませんね。和栗を年間約15トン使っていますから。普段皆さんがよく召し上がっていらっしゃるモンブランはフランスやイタリア産の栗のペーストに生クリームなどを混ぜているんですが、うちは和栗に砂糖だけとシンプルなんですよ。
高嶋さん
なるほど~。和栗はどちらのものを使っているんですか?
鈴木さん
熊本県の球磨(くま)産の和栗です。産地にこだわらなければいろいろ栗もあるんですけれど、香りがよくてほんのり甘い、お菓子に向いている栗を探した結果、熊本県産のものがベストでした。収穫時期によっても少し色味は変わるんですが、今はちょうど新栗ですので、きれいな黄金色をしていますね。
高嶋さん
これを目当てに来るお客様が増えていらっしゃるんですね。
鈴木さん
おかげさまでそうですね。年間20万個売れています。
高嶋さん
20万…!すごいですね! もう笑いが止まりませんね(笑)。
鈴木さん
いやいや、原価が高いので(苦笑)。でも妥協はしていませんよ。メレンゲだけファクトリーの方で2時間かけて焼き上げまして、お店で無糖の生クリームと栗のペーストを絞るんですよ。メレンゲのサクサク感が失われないように、お店で毎日2回造っています。

大人気の和栗モンブラン

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