GINZA CONNECTIVE (高嶋ちさ子対談シリーズ)

松﨑 宗仁×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.28

松﨑 宗仁×高嶋 ちさ子

2014.01.01

ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんに、ゲストの方をお迎えして銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、江戸時代から続く老舗「銀座 松崎煎餅」の代表取締役 松崎宗仁さんです。

銀座屈指の歴史を誇る、創業200年以上の老舗の煎餅屋さん。

高嶋さん
びっくりしたんですが、創業が文化元年! 創業200年を超えていらっしゃるんですね。
松崎さん
そうなんです。1804年に創業しました。関西・三河の国に始まり、東京では芝に店を出したのが始めです。その場所で3代続き、1865年に銀座へ移り住んで来ました。
高嶋さん
銀座の中でもかなり歴史のあるお店ですね。
松崎さん
江戸時代から続いているので、かなり古い方かもしれませんね。私で7代目、息子が8代目になります。
高嶋さん
最初からお煎餅屋さんだったんですか?
松崎さん
はい。今は、甘味喫茶や画廊なども行なっていますが、煎餅ひと筋です。でも、お煎餅と言っても、うちのは関西にルーツがあるので瓦煎餅なんです。関東の硬い、しょう油味の煎餅とは違うんですよ。
高嶋さん
へえ~!関東と関西で違うんですね。先ほど店頭で商品を見ましたが、かわいい絵柄がいろいろあって楽しいと思いました。
松崎さん
ありがとうございます。「三味胴」というオリジナルの瓦煎餅があるんですが、その絵柄は砂糖の蜜を着け描いているんです。4代目が煎餅にも季節感を出したいということで始まったんですよ。
高嶋さん
材料は何ですか?
松崎さん
小麦粉と砂糖と卵だけです。それを鋳型で焼いています。できるだけ手作業に近い状態で丁寧に焼き上げているのがうちの特徴です。バターを使っていないので、シンプルな味わいを楽しめますよ。
高嶋さん
シンプルで優しい甘さの瓦煎餅、いいですね。お煎餅以外の商品も扱っているんですか?
松崎さん
和菓子も少し扱っています。今日は、年末から1月頭にかけて販売している、山形の伝統の和菓子がちょうどあるのでご用意しました。茄子の砂糖漬けなので好き嫌いがはっきりと分かれる商品。珍しい和菓子なので召し上がってみてください。
高嶋さん
わぁ、嬉しい!ありがとうございます。茄子の和菓子なんて初めていただきます。
松崎さん
一富士、二鷹、三なすび、と言われているように、茄子の和菓子は縁起物として、お正月の時期に好まれるんです。
高嶋さん
(ひと口食べて)おいしい!砂糖漬けにすると果物みたいな味わいになるんですね。私は大好きです。貴重なものをありがとうございます。

オリジナル瓦煎餅「三味胴」

期間限定商品 茄子の砂糖漬け 「夢」(※茄子が不作のため、生産数が少なく既に完売しております。)

銀座生まれ、銀座育ち。子供のころは並木通りでキャッチボールをした思い出も。

高嶋さん
松崎さんは銀座でお生まれになったんですか?
松崎さん
はい。銀座生まれです。母も息子も娘も銀座生まれですね。
高嶋さん
はぁ~、かっこいい!じゃあ、移り行く銀座の姿もずっと見てきたんですね。
松崎さん
はい、30歳過ぎまで銀座で暮らしてきたので、銀座の変遷は目にしてきましたね。私の母が娘の頃は、鞄屋で有名な「大黒屋」さんがまだ乾物屋をやっていて、ごはんのおかずがないと母は祖父からお駄賃を渡され、何か買ってきてとお使いを頼まれたりしてたようです。そんな下町風情が流れていたんです。4丁目の並木通り辺りはあまり賑やかではなかったので、正月の三が日にキャッチボールをしたこともあるんですよ。
高嶋さん
えー、今では信じられない!
松崎さん
自分が30歳過ぎまでは、プランタンのあった場所は読売新聞社が、マリオンは朝日新聞社でした。このあたりも、ブティックやレストランではなく、オフィスやマージャン店、赤提灯、喫茶店などが多かったので、休日には割と静かでしたね。
高嶋さん
今はすっかり眠らない街といった印象ですよね。私は王子ホールで3ヶ月に1度コンサートをしていて、終了後は銀座で打ち上げをしているんですが、不景気と言えども駐車場がなかなか見つからないこともあって…。やっぱり華やかで、栄えている街だなーと実感しますね。
松崎さん
そうですね。今も深夜2時以降は割りと静かになりますけど、昔とはがらりと変わりましたね。でも、その変化を受け入れるのこそが、「銀座」という町の魅力かもしれませんね。

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