GINZA CONNECTIVE (高嶋ちさ子対談シリーズ)

安藤 重幸×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.30

安藤 重幸×高嶋 ちさ子

2014.03.05

ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんに、ゲストの方をお迎えして銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、宮内庁からも受注が来るほどの素晴らしい技術で知られる「安藤七宝店」東京支店長の安藤重幸さんです。

時計や車のエンブレムも七宝焼きのオーダーがあります。

高嶋さん
ところで、七宝焼きって7回焼くから七宝と言うんですか?
安藤さん
いえ、違うんです。もともとは仏教用語で、金、銀、真珠、瑠璃など、7つの宝石に匹敵するぐらい綺麗な宝ということで、七宝と呼ばれているんです。
高嶋さん
そうなんですね。日本人なのに、知らないことが多いなぁ。

ところで、安藤さんも七宝を作られるんですか?
安藤さん
いえいえ、私はまったく。トライはしたことはありますが、これはやってはいけないと思いました(笑)。やはり、職人の世界は職人さんにやっていただくのがいいんです。そもそも創業者も「J.ANDO」というブランドを作りましたが、彼自身が作ったわけではないんですよね。プロデューサー的な立場でして。言い訳させてもらうと、だから僕はやらない、と(笑)。
高嶋さん
和のものはもちろんですが、洋もので発注を受けることもあるんですか?
安藤さん
はい、最近は時計や車のエンブレムを作らせていただきました。時計は、セイコーさんのクレドールというシリーズの文字盤を、七宝焼きで表現させていただきました。
高嶋さん
いくつぐらい作られたんですか?
安藤さん
限定20個です。もともと七宝は、1個ずつ若干の違いが風合いとして受け入れられる世界ですので、時計の文字盤というぴったりと収めないといけない世界に非常に苦労しました。
高嶋さん
お金の話ばかりですみませんが…おひとついくらぐらい?
安藤さん
400万円近くします。もちろん七宝だけでなく、時計として全てのクオリティも高いですからね。
高嶋さん
わー!時計1個がそのお値段。小さければ小さいほど大変なんですものね。車のエンブレムはどんな感じですか?
安藤さん
クラシックカーに趣味で入れたいという方のご依頼がありますね。
高嶋さん
オリジナルでひとつひとつ作ることが可能だからこそオーダーが来るということですね。職人さんはどこにいらっしゃるんですか?
安藤さん
名古屋に10名おります。技術は一度なくなると途絶えてしまうので、最近は若い20~30歳ぐらいの人たちを入れて、技術を受け継ぐことにも力を入れています。
高嶋さん
そうですよね、この技術は日本人として継承していって欲しいです。

横のつながりが深い銀座では学ぶことがたくさんあります。

高嶋さん
安藤さんは、この銀座WEBサイトの運営メンバーなんですね。どうでしょう? 何かおっしゃりたいことがあれば(笑)。
安藤さん 
そうですね(笑)、関係者でありながら、こちらの記事はいつも楽しく見させていただいております。立ち上げのときから手伝わせていただいてますが、こうやって私がゲストとして出ることになるとは思っていませんでした(笑)。
高嶋さん
銀座のお仲間とは交流も多いんですか?
安藤さん
出てきた当初は、銀座に知り合いがほとんどいない状態でスタートしたんですが、「銀実会」をご紹介いただいて、入れさせていただいたりするうちに、いろいろな方と知り合えて、お世話になって。そのつながりに感謝しています。
高嶋さん
東北の支援活動もされているとか?
安藤さん
はい、先日は銀座のメンバーで被災地へ行ってきました。行ってみて、支援を受けたいというより、自分たちの経済活動がもとに戻りたいと思っている方が多いと感じましたので、東北を観光したり、現地食材を食べたりして活気を取り戻してもらうことがとても大事だと思いました。自分の足で行ってみてよかったです。
高嶋さん
いろいろ銀座のみなさんで活動されているんですね。銀座は、横のつながりがりも深いですね。
安藤さん
はい。商売という目の前のものも大切ではあるんですが、長い目で見た場合、いろんな人と知り合って、いろんな考え方や街に対しての思いとかを聞いたりするのは、とても勉強になります。そういう意味でも、銀座に来て本当によかったと思っています。

次回のゲストは……?

高嶋さん
次回のゲストをご紹介いただけますか?
安藤さん
つばめ風ハンブルグステーキが美味しい「つばめグリル」の石倉悠吉社長です。昔から変わらず美味しい料理を提供し続けられている秘訣やこだわりを是非聞いてみていただきたいですね。

高嶋 ちさ子

ヴァイオリニスト。6歳からヴァイオリンを始め、海外で活躍後、日本に本拠地を移し、全国各地でコンサートを行っている。現在は、演奏活動を中心としながらも、テレビやラジオ番組の出演などでそのキャラクターが評価され、活動の場はさらに広がりを見せている。

高嶋ちさ子オフィシャルウェブサイト

安藤 重幸

創業明治13年「安藤七宝店」東京支店長。皇室御用達として知られる、日本が誇る高い七宝の技術で有名な老舗の銀座の支店を任されている。当サイトの運営メンバーとしても活動。料理が趣味で、
休日は家族のために腕をふるうことが多いのだそう。

「安藤七宝店」ウェブサイト

取材・文:高橋瑞穂  取材場所:安藤七宝店 東京支店

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