GINZA CONNECTIVE (高嶋ちさ子対談シリーズ)

小仲 正也×高嶋 ちさ子

GINZA CONNECTIVE VOL.43

小仲 正也×高嶋 ちさ子

2015.05.01

ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんと、銀座人たちの対談シリーズ。高嶋さんにとって銀座は、仕事でもプライベートでも思い入れのある街。そんな高嶋さんに、ゲストの方をお迎えして銀座のあれこれをディープに聞いていただきます。今回のゲストは、世界中のお香やフレグランスを扱う「株式会社大香」の専務取締役、小仲正也さんです。

香りは祈りの象徴?日本とヨーロッパの香りの使い方の違い。

高嶋さん
ところで、昔の日本では、香りはどのように使われていたんですか?
小仲さん
古来より人々と深い関わりがありまして、たとえば、平安時代の貴族たちは、伏籠(ふせご=香炉や火鉢などの上に逆さに伏せておく籠。)を使って衣服に香りを焚きしめることがたしなみとされていました。現代のように毎日お風呂に入る習慣がなく、ほとんど湯船につかることはなかったそうですから、体臭をごまかす目的もあったと思います。
高嶋さん
なるほど~。中世のヨーロッパでも衛生事情が悪く、ヴェルサイユ宮殿ではトイレが少なかったから、悪臭をごまかすために香水を使っていたという話を聞いたことがあります。だから、海外の香水ってかなり強めの香りのものも多いですよね。
小仲さん
そうですね。でも、日本人とはずいぶん香りの使い方が異なりますよね。どちらかというと日本では、現代においても、体に直接香りをつけるというよりも、洗濯物に柔軟剤を使ったり、お香を焚いたりなど、間接的に香りをまとう方が好まれる傾向にあります。
高嶋さん
たしかに。香りへのアプローチの仕方が違いますね。ヨーロッパでは香りは人々にとってどのような存在だったんですか?
小仲さん
元々ヨーロッパでも、日本同様祈りをささげるために香りを使っていたんですよ。英語の『Perfume(香り、香水)』の語源は、ラテン語で「煙を通じて」という意味があり、昔は、立ち上っていく煙に祈りをささげていたそうです。キリスト教では、イエス生誕の際に、東方の三博士によって贈られたとされる「黄金(=王位の象徴)、乳香(にゅうこう)、没薬(もつやく=死の象徴。 死者の身体に防腐剤として塗られるもの)がありますが、乳香とは、ボスウェリア属植物の樹木の樹液から作られた崇拝に使われる高価な香料のこと。祈りの象徴とされていますね。
高嶋さん
素神聖なものだったんですね。
小仲さん
身を清めるために使っていたそうです。中世ヨーロッパでペストが流行したときは、消毒がわりにスパイスで香水を作り、その臭いでペストから身を守れると思っていたそうですから。
高嶋さん
ヨーロッパで香水が発展していったのはそういった背景があったからなんですね。

銀実会の理事長に就任。自分自身の殻を破りたい。

高嶋さん
では最後に、銀座への想いをお聞かせください。
小仲さん
銀座はやはり銀座らしさが大事。いい街だからこそ、いろいろなチェーン店も近年銀座でお店を開いていますが、そればかりになると他の街と変わらなくなってしま銀座はなんといっても人が魅力的ですね。銀座の街を誇りに思っている方が多い。だからこそ、独自の文化を継承していけるのだと思います。この結束の固さが、銀座の街を創り出しているのでしょう。
今年の4月から銀実会の理事長に就任させていただくのですが、そんな銀座の魅力をより発信すべく、新しく仲間を増やしていきたいですね。
高嶋さん
理事長就任おめでとうございます!銀実会は現在何名在籍されていらっしゃるのですか?
小仲さん
40歳以下の若手で構成される会なんですが、約70名です。
高嶋さん
70名!それだけの人をまとめるって大変ですよね。今年は忙しくなりそうですね!
小仲さん
ええ。でも、得られるものがすごく多いですから、いろいろ経験を積ませていただけるいい機会だと思っています。まずは自分自身の殻を破れたらと思っています。

高嶋 ちさ子

ヴァイオリニスト。6歳からヴァイオリンを始め、海外で活躍後、日本に本拠地を移し、全国各地でコンサートを行っている。現在は、演奏活動を中心としながらも、テレビやラジオ番組の出演などでそのキャラクターが評価され、活動の場はさらに広がりを見せている。

高嶋ちさ子オフィシャルウェブサイト

小仲 正也

株式会社大香 専務取締役。大学卒業後、銀行勤務、アメリカ留学を経て、2009年に代表取締役専務就任。趣味は茶道、キャンプ、登山。現在葛西の自社倉庫屋上にハーブガーデン”Fingredient”を造営中。

「株式会社大香」ウェブサイト

取材・文: 岡井美絹子 取材場所:株式会社大香 本社

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