銀ぶら百年

Ginza×銀ぶら百年 Vol.08

明治44年の銀座広告

 前回は銀座8丁目にかつて存在したデパートの走り、「天下堂」の話を書いたけれど、原稿を書き終えてからちょっと気になることが出てきた。僕は明治42年11月の開業の新聞広告を見つけて、永井荷風が44年7月の随筆「銀座界隈」で屋根裏から一望した銀座風景を綴っているのはこの開業時の建物、と思っていたのだ...

Ginza×銀ぶら百年 Vol.07

幻の展望ビル・天下堂のナゾ

 銀ぶらという言葉が生まれたのは大正時代の初め、といわれているが、それ以前から趣味としての散歩を実践、名随筆を残した作家に永井荷風がいる。なかでも「三田文学」の連載随筆に寄稿した「銀座界隈」(明治44年7月)には、銀座にカフェーやビヤホールなどの“トレンドスポット”が続々出現し始めたころの様子が...

Ginza×銀ぶら百年 Vol.06

サヱグサのシックな歴史を学ぶ

 銀座(中央)通りの老舗中の老舗に子供服の「ギンザのサヱグサ」がある。いまの店舗は7丁目だが、かつては3丁目の西側角っこにあった。現在「アップル」が店を開いている所で、このビルも名義はサヱグサビルだから、いってみればアップルさんは間借りしてスマホやタブレットを売っているってことになる。 ...

Ginza×銀ぶら百年 Vol.05

三笠会館の唐揚げのヒミツ

 銀座は表通りの広々とした歩道を散歩するのもいいけれど、ちょっと横道にそれるとホッとする。西五番街、みゆき通り、交詢社通り、タテヨコの静かな道を歩いていると、なんとなく銀座の通人になった気分になれるものだ。  並木通りも好みの道。この日は新橋の側から歩いてきたのだが、画廊があり、レストランのロ...

Ginza×銀ぶら百年 Vol.04

1971年夏の山野楽器

 先月、銀座1丁目の奥野ビルを取りあげた際、当初の銀座アパートメント時代の住人に西條八十や佐藤千夜子もいた……というようなことを書いた。とはいえ伝記本の好著『西條八十』(筒井清忠・著 中公文庫)にもその件は記述されていなかったから、ほんの短期間だったのかもしれないが、両者は『東京行進曲』の作詞者...

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